新・釣具の知識 その1
発売間近。自然に還る生分解性の釣糸

まとめ 編集部/武富純一

 使用済みの釣糸が、微生物によって分解され、やがて自然に還っていく……そんな夢のような釣糸がすでに実用段階まで進んでいる。各社に先だって実用化に近づいているのはダイワ精工(株)。すでに昨年のフィッシングショーで参考出展されているのでご存じの方もおられるだろう。この釣糸の特徴は水中、土中を問わず地球上のあらゆるところに存在する微生物(バクテリア)によって釣糸が完全分解することにある。環境条件によって異なるが、普通一ヶ月程度で強度低下が始まり、1.5年〜2年程度で炭酸ガスと水になって消滅するという。ダイワ精工(株)広報部の資料を元にまとめてみた。

■強度は大丈夫?
 まず、釣人として心配してしまうのが強度面。使っているうちに生分解が始まってしまい、せっかくの獲物が糸切れでサイナラーなんてことはないのだろうか?
 この点はご心配なく。確かに最新の高強力ラインと比べればまだ弱いが、釣糸としての強度は十分確保されているという。それにバクテリアは空気中では繁殖しにくいため、極端な湿気の中で保管しない限り分解は始まらない。普通にリールに巻いて使っている限りではまず大丈夫のようだ。「じゃ、雨の日に使ったら弱くなるんじゃない?」という心配な人のために追加しておくと、ただ単に水に触れただけでは分解は始まらないので、釣糸への影響はまずない。使用後の手入れも普通のナイロン糸と同様、真水での洗浄や乾燥した場所での保管をすれば命はさらに延びるということだ。
■販売にはもう少し時間が……
 こうして、試作レベルでは完成に近づいているのだが、実際の販売までにはもう少し時間がかかるらしい。まず大きな問題は生産面。試作品はともかく、量産となれば品質の安定化やコスト面で解決すべき問題がまだ残されている。さらに、性能面でも自然保護の意識を幅広いユーザーに浸透させていくためにも時間の猶予がほしいということだ。
 また、気になる値段の方だが、通常のラインと同じ価格帯での提供を考えているという。発売は今から一年半後を目処にしたいということだ。
 この他、ダイワ精工では釣糸の他、スプールや包装材等にも生分解樹脂の応用を積極的に進めていくという。

■だから「ポイ捨てOK」じゃない。
 と、これまではダイワ精工さんの資料をまとめて紹介したが、編集部として気になるのは、「いずれ分解されてしまうのだから」とお構いなしにポイポイ捨てるのだけは勘弁してね、という点。釣人に限らず、人間にはどうもこうした短絡思考があるようで、何か便利なものができるとすぐにこうした理屈をもっともらしく言う輩が出てくるのである。“使用済みのラインはちゃんと処分する”……メチャメチャあたりまえのことなのだが、皆がキチンとできていればこれほど釣場のゴミが社会問題にまでなるわけがない。
 生分解性糸のメリットは、根掛かりや高切れ等で“不本意ながら”回収不可能となった時に最大限発揮されるのだと思うのだが、いかがだろう。

問い合わせ ダイワ精工(株)広報室
TEL.0424−74−8818