| 新・釣具の知識 5 番外編 |
| シラサエビ不足はなぜ起こる? |
| まとめ 編集部/武富純一 |
|
大阪湾近郊の釣りに使うエサで生きエビの代表格と言えばシラサエビ。エビ撒きのハネの他、チヌやガシラ、メバル釣り等にも欠かせないエサだ。これが、毎年5月の連休頃になると決まって品不足になる。昨年はそうでもなかったのだが、今年は店によっては慢性品切れ状態、ようやく見つけても一人一杯の限定販売のところもかなり多かった。毎年5月の一時期に限ってどうしてこんな事態が起こるのだろうか? 今回は“つりぐ”じゃなくて「釣りエサの知識」、番外編です。 ハネ釣りファンは大打撃 シラサエビを一番大量に使う釣り、それは何と言ってもハネ釣り。大阪湾のハネ釣りは別名エビ撒き釣りとも称され、秋口から春先にかけて盛んだ。近頃では年中やってる人も結構いたりする。 この釣りの場合、シラサは最低3杯は買わないとダメ。1杯だとマキエはわずか数匹をパラパラとしか撒けないからハネを寄せるにはかなりのパワー不足、それにどうしても気持ちまでがビンボくさくなってしまい、しまいには「こんなんエビ撒き釣りちゃうデ〜」と憤慨する羽目となる。 だから、やっぱりエビをちゃんと撒いて釣りたいという熱心な人は前夜から何軒ものエサ屋をハシゴしたり、店の前で見知らぬ釣人さんにお金を渡してお願いして代わりに買ってもらったりと、涙ぐましい苦労を重ねている。 シラサエビはどうして毎年、この時期になると不足してしまうのだろうか? 現地のエサ問屋さんは…… 現在、エサ屋さんに出回っているシラサエビはほとんどが琵琶湖産。こういうことは現地に聞くのが一番と滋賀県のエサ問屋、小松水産にお聞きした。 それによるとシラサエビの漁法には、モンドリというセルびんのようなカゴで獲る方法と船で網を曳いて獲る方法の2種類があるという。網の方が一度にたくさん獲れるのだが、この漁法が県の条例で4月いっぱいまでと決められており、5月1日からは一斉にカゴで捕る方法に変わる。つまり漁法が変わるために獲れ高がこの時期ガクンと減ってしまうのだ。折しもこの時期はGWを控えて釣人が大挙して釣りに出かける時期でもある。 つまりこうしたダブル効果により、シラサエビの需要と供給のバランスが一度に崩れてしまうというわけだ。これが毎年引き起こされる品不足の主要因というわけ。 では今年は特にそれがひどかったのはなぜかというと、低水温の影響ではないかということだ。ふつうモンドリは岸辺の浅い所にしか入れないので、水温が上がってシラサの活性が高まらないとなかなか獲れないのだが、今年は冬場の降雪が多かったため、例年より水温の上昇が遅れており、シラサが思うようにカゴに集まらないという。 加えて昨年の猛暑と渇水のため産卵状況がよくなかったことも今年の極度な不足の要因のひとつだろうという話だった。 もちろん問屋としてはこうした事態を黙って見ているわけではない。品切れ対策として4月頃から少しずつ備蓄の努力はしているそうだが、長期間活かしておくのが意外に難しいらしく、場合によっては半分以上死んでしまうこともあるそうだ。 無いなら無いで他の釣り方を さて、こうした事態を当の釣人はどう眺めているのだろう。 エビ撒き釣りならこの人、毎週の釣行ごとに必ず8杯は買っていくというヘビーユーザー、泉州ハネ釣り研究会の今中会長にお聞きした。 「この時期のシラサ不足は毎年、決まって予測される事なのだから、エサ屋さんも前もって備蓄しておけばいいのにと思うけど、それも採算を考えるとなかなかできないのでしょうね。できるならウチのクラブで専用のイケスを買って備蓄したい気持ちです。ただ、その反面思うのですが、何が何でもシラサエビという考え方を改め、無いなら無いで他のエサを使うとか他の魚を狙うとかで釣り方を工夫して楽しめばいいのではないでしょうか」というお答え。 今中さんは以前、何が何でもマキエを確保したくて、エサ屋さんの前で見知らぬ人にペコペコ頭下げて代わりに買ってもらううちに「楽しみでやってる釣りやのに何でこうまでして釣らんならんネン?」と何やらとても空しい気持ちになってしまったそうだ。 そもそも季節ごとに旬の魚を追い、その時期に釣れる魚を手に入るエサで釣るのが釣りという遊びではなかったかという、ちょっと考えさせられる昨今の釣りへのアンチテーゼ。確かにその昔、ハネ釣りは寒バネ釣りと呼ばれ、主に冬場の釣りで、5月には誰もしなかったのではないだろうか。 この時期にはチヌの落し込みも始まるし、他のムシエサやアミエビなどの冷凍エサはいつも豊富にあるし、少し見方を変えれば楽しい釣りはいくらでもある。それにシラサエビ不足はあくまでごく一時的なものなので、本誌が読まれている頃には間違いなく解消しているはずだ。 自然相手、お魚相手、所詮ままならぬのが釣りの楽しみ。ガマンするのも釣りのうちですゾ。それとも来年に備えてシラサの備蓄、始めますか? <シラサエビ> 和名スジエビ。体長3〜5cm。日本各地、朝鮮半島の河川や湖沼にすむ。エサ屋に出回っているのはほとんどが琵琶湖産だが、韓国や中国産もある。冷凍したものは湖産エビと呼ばれる。ハネ、チヌの他、メバル、ガシラ、グレ、カワハギ等のエサとして人気が高い。たいてい一合マスで量り売りされ、大阪あたりでは一杯500円が相場。 |
