| 新・釣具の知識 9 |
| 180度逆転の発想 アウトバーブフック |
|
協 力/(株)がまかつ 聞き手/編集部 永田 淳 |
|
先日オフショア(船から)のルアー釣りを取材した折、カエシ(モドシ)が外側に ついたトレブルフックを使っておられた。話を聞くと、合わせが利きやすい、バラシ が少ない、ハリはずしが簡単等々いいことずくめではないか。これは是非とも事の真 相を突き止めねば!ということで唯一アウトバーブを製造しているがまかつの製造部 の佐野一典さんから話を聞くことにした。 本誌 まず素朴な疑問なんですが、アウトバーブに対して従来のハリはなんと呼ぶのですか? 佐野 「まあ、インバーブと呼んでいます。これはアウトバーブが出たことによってそれと区別するために出来た呼び名で、それまではバーブレスと普通にハリという風に呼んでいました」 本誌 それではアウトバーブを出すきっかけとなったのは? 佐野 「ここ数年、にわかに流行だした沖で青物を狙うスーパーディープジギングがありますよね。これはメタルジグを100〜200m落としてシェイク(シャクリ)を繰り返す釣りです。この釣り方ですとどうしてもラインにフックが引っかかるエビ反りという状態になってしまいます。これはインバーブの従来のハリのカエシ(バーブ)にラインが絡まることによって生じます。これを改善しようということで開発したのがこのアウトバーブです。アウトバーブにすることによってエビ反りは格段に解消されました」 本誌 ということは、フッキングを良くするためとか、バレを防止する目的で造られたのではないのですか? 佐野 「カタログを見ていただけると分かると思うのですが、バーブレス並のフッキン グとか、ハリ穴が広がらないと書いてありますが、これはどちらかというと後からのテストで分かったことなんです」 本誌 しかし、確かにそういう性能もあるんでは? 佐野 「確かにあります。これは理屈を付けるともっともなことです。たとえばフッキングですが、魚がハリをくわえた瞬間、ハリ先を支点としてハリ先と糸とが一直線になり力は上に加わります(図参照)そうすると上にカエシのあるインバーブのハリですとどうしても力のかかる方向に抵抗が生じます。この抵抗がバーブレスやアウトバーブのハリならば少ないので貫通性が良く、結果的にハリがかりは良くなります。また貫通性がいいのでハリのフトコロまで魚の口が入り、バラシの防止にも役立ちます」 本誌 バレにくさでは他にどういったことが考えられますか? 佐野 「バレにくさでは、インバーブのハリなら魚の口に開く穴はしずく型になるのに対してバーブレスやアウトバーブならば円形になります(図参照)しずく型のハリ穴の場合なら切り裂くような感じで、やり取りの最中にハリ穴がどんどん大きくなりますが、円形ならこの穴の大きくなり方も極力抑えられ、長時間のファイトにも耐えられます。言い替えれば口切れを防ぐハリといったところでしょう」 本誌 他にどういった利点がありますか? 佐野 「ハリはずしが簡単なことです。これは理由は分からないのですが、実際にはずされてみたら体感できると思います。驚くほど簡単にハリをはずすことが出来ますよ。けれどもなぜかバレることが少ないのです」 本誌 素人考えなのですが、ハリ穴の大きくなるインバーブのほうがはずしやすいんでは 佐野 「そうですね。何故でしょうね?ただ、インバーブに慣れておられる方がはずされる場合は注意が必要です。インバーブのハリですと外側に押しつけてハリをはずすのですが、アウトバーブですと反対に内側にハリを押しつけてはずすことになります。アウトバーブで外側に押しつけてはずそうとするとカエシの部分がよけいに食い込んで大変なことになります」 本誌 なるほど、こう聞いてくるといいことだらけの感じがしますが、何かデメリットもあるのでは? 佐野 「確かにあります。カエシが外向きに付いていますのでどうしてもルアーに傷が付きやすい。インバーブですとハリ先だけしかルアーに傷を付けなかったものが、アウトバーブですとカエシの先もルアーを傷つけることになります。単純に考えて2倍傷を付けることになります。また、外向けにカエシが付いているのでカエシが傷みやすいのです。同じ理由で手にも刺さりやすいので取扱いには十分注意していただきたいのです。万が一、指などに刺さったらインバーブとは反対に内側に押しつけて抜いてもらわないとひどいことになります。 けれどもこれもあくまで魚を釣って取り込むまでを優先して作ってあるので、ある 程度の不自由は辛抱してもらうことになります」 本誌 根掛かりが多いとかそういうことはないのでしょうか? 佐野 「テストではそういう話は聞きません。ただ根掛かりをした場合、細軸のハリを使っていて太仕掛ならばハリは伸びますよね。そうした場合にはルアーを回収できる確率は高くなります。」 本誌 構造的な違いはあるのですか? 佐野 「さして違いません。ただ元来青物をターゲットとしたスーパーディープジギングを目的として開発しましたので、普通より一回り太軸になっていますが、これも今ではラインアップが豊富になりましたので解消されています」 本誌 何か苦労話を聞かせてもらえますか。 佐野 「やはりカエシが外側に付いているということで、従来の製造行程ですと問題が出てきます。ハリの製造は鋼を削ってハリ先を作り、カエシの切れ目を入れてから曲げるのですが、この曲げる段階で鋼を180度回転させないとアウトバーブになりません。これが結構厄介でしたが、今では製造ラインも出来順調に製造しています」 本誌 これからのアウトバーブの商品展開を教えてください。 佐野 「アウトバーブはなかなか好調な売れ行きです。特にスーパーディープジギングをされているユーザーの方からもカタログにはカラミ防止とは書いていないのに、エビ反りが少なくなったという話を良く聞きます。これからは淡水ルアーのトレブルフック、ワームフックやジグヘッドのフックも作っていきたいと思います」 本誌 磯や波止、投げ用のハリには? 佐野 「今のところは考えていません。しかしこれは行けるぞ、ということになれば作っていく方針です」 本誌 佐野さん自身のアウトバーブに対する思い入れなどがありましたらお願いします。 佐野 「そうですね、このごろどんどん魚が減っていますよね。こうした状況でキャッチアンドリリースをして魚族を保護することはとても有意義なことだと思います。先ほどもお話しましたように、アウトバーブは魚の傷口をインバーブに比べて広げず、魚へのダメージも小さいのが特徴です。バーブレスに比べればやはり大きいのですが、それでもキャッチアンドリリースするとすれば魚族保護には少しでも貢献できると思います。 また、私たちはハリ屋ですので色々なハリを発売する義務があると思います。こうしたアウトバーブが良ければ売れ続くであろうし、だめなら淘汰されるでしょう。釣 りは所詮遊び、趣味の領域です。その遊び心を少しでもくすぐれるのなら、また釣人の夢を膨らますことが出来るなら、ハリ屋として成功だと思っています。 こうした遊びの釣りをする上で、すべてのハリがバーブレスになれば面白いと思い ます。がまかつは他社に先駆けてバーブレスのトレブルフックを作りました。これも 一匹の魚とのファイトをどれだけ楽しめるかという意味合いが含まれているのです。 魚を掛けてバラさずに取り込むのは釣人の腕です。魚が減って釣りにくくなっている 現在、一匹の魚との駆け引きをいかに楽しむかということがこれからの釣りのゲーム 性をさらに高めていくのではないでしょうか」 本誌 なるほど、これから釣れない時代にへの提言ですね。 本日はどうもお忙しいところを有り難うございました。 ということで、アウトバーブのメリット、デメリット分かりましたか? まとめると、アウトバーブは糸絡みが少なく、フッキングが鋭く、バラシが少なく ハリはずしが容易。魚に優しい。 反面、ルアー、手や指、カエシに傷が付きやすい。 こうなりますが、フックも使いようで、20〜30mぐらいキャストするような釣りなら絡んでもすぐに巻いてこれるのでそんなに気を遣うことはないでしょう。けれどものは試しと一度使ってみてはいかが?価格は500〜600円。サイズも各種あり。 問い合わせ/株式会社がまかつ ●0795・22・5891 |
