Web版つりのとも


波止の養殖隊
ハネ研エレジー
その5


瀕死の心ウキ

 5月例会当日のことでした。前日いい目をした中波止2番へ行こうと思っていたところ、若い会友がそこへ上りたいと言ってきました。「ああ、いいよ!」といい格好をして譲って、副会長と二人、貸切の赤灯ヘ。

 彼はこそっといい目をしている段の奥のポイントへ、本来なら僕はその段の手前側の浅い方へ陣取るのですが、何故かこの日は、彼は下手の深い方が気になり、そちらへ入りました。

 潮は右から左へ気持ちよく流れています。しかし長い間来てませんので、釣れるような気がしません。
 相棒が先にセイゴをかけました。「何ヒロ?」「3つ半!」こらいかん、実績を信じるものは救われるいや釣れる!何やわからんが3つ半にして僕も流します。
 1時間半くらいしてからでしょうか、ウキにコツという小さいアタリ!アタッター!そしてゆっくりとウキが海中へ、ヨッシャー!
 良く引いてくれます。これで小さかったら怒るぜとかいいながら、タモに入ったのが60オーバー!良し良し!

 底撒きをかけて一生懸命仕掛を打ち返すのですが、後が続きません。その内糸が出にくくなりました。

 おかしいなー?よ〜く見ると。穂先がハジけています。糸がからんだまま、しゃくったのでしょう。この竿をしまい、予備のインターラインを取り出します。仕掛をセットしてウキ止めの位置を浅くし、底撒きをつけて第一投。仕掛がなじみ、ウキが立ち、そして海中へ、さあといってしゃくると、手応えがありません?
「何で?何で?どうしたん?」初めのウキ止め位置から見事に高切れ!半年も使わず、ウキ止めをつけたままでしたのでそこがへたっていました。教訓1【インターラインの場合、ウキ止め糸は1回毎にとって、釣行時につけること!】
 ウキが、ウキがもったいなくて、どないかして取り返したいという気で一杯です。

 慌てて仕掛をやり直し、何回も何回もその辺りを流します。何とあなた、5回目にアタリ!何かもたれたような感じで沈んで行きます。そっと合わしますと、手応えあり。しかし、相手は暴れません。ひょっとして、ひょっとして!やったあ!やりました大当たりです。ウキ、仕掛底撒き全部回収できました。となりの副会長にご機嫌でしゃべりまくります。ところが先方はいい顔をしません。まだ検寸サイズが釣れていなかったのです。

 彼も気合が入ってきました。3ヒロに上げたとたんにアタリ、大きい!かなりの大物です。タモを持って待ち受けますが、あっという悲鳴でジ・エンド!私のものより大物だったようです。
 皮肉なことにその後私に50cm代がもう一匹きてしまい、居心地が悪くなってきました。 ところがそこで、最後の悲劇が待っていました。
 最後の底撒きを振り込んでウキが立ち、しゃくったところ、またも高切れ!潮時とばかり引き上げました。

 例会は優勝したのですが、穂先代8000円、そこに大事な自作ウキを失くしています。一向に喜ぶ気になりません。
 次の週、あきらめきれずに赤灯ヘ、魚じゃなくウキ釣りに専念しました所、何と何と失くした初めの位置から10m下手で、彼は私の救出を最後の浮力をしぼって待っていてくれました。

 救い上げた彼は息も絶え絶えで、死にかけています。羽根の軽やかさがなくなりまるで黒檀で出来ているようです。
 嬉しいやら悲しいやら、とりあえず入院となりました。
 塗装をはがし、只今日光浴の真っ最中です。彼が復活した時にはお化粧をしなおして、殿堂に入れて飾ってやろうと思います。「帰ってきた心スペシャル1号」として!

きっとくる お前救い信じて じっと立つ  心ウキ
どこだって 深いきずなの 俺お前      心酔
心酔と いつも道連れ 心ウキ

(東大阪市在住)