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STOP THE 船酔い虎の巻 動揺病(どうようびょう)……「乗り物酔い」を医学用語でこういうらしい。日頃慣れない動揺を受けることによって、体の平衡機能をつかさどる内耳迷路が刺激され興奮し、正常なバランス感覚が維持できなくなって起る症状。興奮状態が自律神経系や嘔吐中枢に広がり、めまい、吐き気、頭痛などの症状を引き起こす。釣れない時代と言われる現代、確実にお土産ができ、時には超大物も飛び出す船釣りはボーズ続きの釣人にとってはまさに救世主。ところが、のんびり楽しくこの釣りするためには大きな関所「船酔い」と言う壁が立ち塞がっている。でも心配するなかれ、ちょっとしたことで回避できるのだ。この虎の巻で自信をつけて、船釣りに挑戦しよう。 船酔い、その原因と対策 何ゆえにヒトは酔うのか? 資料を見ていていてまず目についたのが「酔いは、健康な体に起こる適応不全の現象」とあったこと。 船に乗ると前後、左右、上下方向にふだん道を歩くのとは違う揺れや振動を感じる。それがひどくなると体のバランスを保つ内耳の三半規管と耳石が順応できなくなる。 適切な姿勢を保てない「動作エラー」が繰り返されて自律神経の働きが悪くなり、ついにはめまい、吐き気を催すに至るというわけだ。 そうした刺激に加えて重油の臭いや排気煙、熱気、景色を見ることなどでも気分が悪くなる。つまり乗り物酔いは目、耳、鼻などを通じてさまざまなミスマッチ的刺激を受け、自律神経が混乱するために起こるのだ。 また、別のデータには「動揺病の発症には正常な内耳前庭機能が不可欠である」とあった。コレ、平たく言えば「マトモな人間なら酔って当たり前」ということ。船酔いで悩んでるひとはご安心あれ。あなたもマトモな人間なのだ!。 とはいえ、自分はマトモだと喜んでいても仕方ない。できれば船酔いの情けない気持ちは味わいたくないもの。具体的な予防方法をみてみよう。 充分な睡眠をとる 夜通し車で走り、明け方から釣りスタート…この釣行パターンをする釣人は多い。前日にゆっくり出かけ、宿で早めに寝るのが理想だけど、時間と金が無いと無理。せめて早めに出発し、現地に付いたら仮眠所や車内で少しでも眠った方が良い。寝不足は船酔いの一番の要因なのだ。釣行前夜は嬉しくて眠れないのもわかりますけど。 食事は、油モノを避け、腹八分目に 油モノは胃の中でなかなか消化されず酔いを助長する。満腹状態も、胃の内容物がゆすられて酔いを引き起こす。腹八分目の適度な食事を出発の一時間前までにとりたい。ある釣行時、道中のサービスエリアで食事をとることになり、何にしようかと迷っていたら、酔いに強い仲間の釣人が一言。「どうせ吐くんやし、ナニ食っても一緒とちゃうの?」。これは辛かったです。メシ食ってる横から「オッ!今からマキエの準備か?」と言うヤツもいる。 排便を済ませておく 腸の不快な感覚がもとで自律神経が不安定になり、ちょっとした刺激で酔いやすくなる。便秘や下痢の時も酔いやすくなるという。出すものは上船前にしっかり出しておこう。 遠くを見る 酔いそうになったら水平線を見ろ、とはよく言われること。逆に近くをじっと見てたら酔う。ハリ結びやエサ付けに時間がかかると酔いを助長する。仕掛ガラミを直すだなんて、もう自殺行為。船頭さんにお願いするか、サッサと仕掛を取り替えてしまおう。 歌を歌う 船の上で歌を歌ったり、楽しくはしゃいでいたりすると酔いにくい。気を紛らわすのが大切。船上でのオススメ曲は、もちろん第一精工のCM! シャクリーが〜、ラクラクぅ〜。 何度酔ってもメゲない 釣り技術と同様、酔いにも慣れはしっかり存在する。実際、初めての航海でひどい船酔いをした船員でも徐々に酔いに慣れ、ついには荒波にも酔わなくなるとか。乗り物酔いは訓練すれば克服できるのだ。 自信を持つ ニセ薬を使っての乗り物酔いの実験では、「これは良く効く酔い止め薬」(実際は全然効果のないニセ薬)と言われて飲んだグループは、ほとんどの人が酔わなかったという。良く効く薬という暗示が不安感を取り去ったのだ。「オレは酔うかもしれんなぁ…」よりも「オレはゼッタイ酔わへんぞ!」と思う方が酔わないのは事実なのだ。 酔い止め薬を飲む 確実な最後の手段はコレ!。現代医学の恩恵に感謝しよう。遅くても1時間以上前に水で服用すること。クスリ飲んだから酔わないという暗示もけっこうある? 試してみます? 貼って効く船酔い対策。 梅干しをヘソに貼る 両者にどんな因果関係があるのかは不明。でもまことしやかに現代へ語り続けられている裏に何か真実があるのかもしれない。 サロンパスを胃の上に貼る バカにしてはいけない。実際にやってるヒトに聞くと「胃がスーッとして、とても気持ちイイ」とか。 ピップエレキバンを貼る 前述にある米粒を一円玉に置いて効くのなら、ピップエレキバンを貼っても効果はあるに違いない。磁力が効くような気がする。 これだけやったら「だいじょうぶだあ〜」 薬 船酔い対策でまず一番に考えられるのが薬。抗ヒスタミン剤鎮吐剤が主成分。脳の嘔吐中枢に働き吐き気を押さえたり、自律神経のアンバランスを整える。 では、どの薬が有効なのだろうか。お医者さんに相談して事前に投与または、調剤してもらうのも良いが、ちょっと大げさなので薬局へ。アネロン、センパア、トラベルミン、トリブラ、テライザー等々。タイプは3種あり、水で飲む錠剤、カプセルタイプ。舐めるだけでよいチュアブルタイプ。液体のドリンクタイプ。 釣人に人気が高いのがアネロンだが、個人差があるので自分にあった物を探してみるのが良いだろう。カプセルタイプは持続性が長いのでお勧めだが、事前に飲みそびれて乗船直前であればドリンクタイプやチュアブルが速効性がある。前日就寝前に1錠飲むのも効果的だと言う人も。 酔う人は基本的に神経質な人が多いとされており精神面が大きく作用している。前述の人気薬も、釣人のウワサが広がり、より相乗効果をもたらしているようだ。「薬を飲んだから安心だ」という思い込みの方が予防に効果をもたらしているのでは…。神経を鈍らす作用もあるので眠気がするため、帰り際に服用しての車の運転は避けたい。 ツボ 「薬ばかり飲むのは嫌だ」と言う人は中国四千年の歴史「ツボ療法」を試してみるのも手。酔いに効くとされるのは手の平のつけ根より指3本分肱よりの「内関」そこよりさらに肱よりへ指2本の間使、お腹のミゾオチより指2本下の「巨闕」の3カ所。図のように1円玉と10円玉を貼ると効果があるという。内関に1円玉を貼る時、その下に生米を一粒置いて貼ると良い。漁師が荒れた海に出漁する時の酔い止めの秘伝だそうだ。 低周波がツボを刺激?! 船酔いを防ぐ腕時計型バンド 酔い止め薬を飲むほどには弱くないけど、かといって無防備で船に乗り込むのも何か不安……そんな釣人にはこんなアイデアグッズはいかかだろう。 手首に付けるだけで酔いを防げるという腕時計型バンド「ポケット・バルス」は低周波バルスで酔いを未然に防ぐというもの。 付ける場所は、手の平を内側に曲げたところにできる、手首のシワから指3本分のところにある内関(ないかん)というツボ。ちょうど腕時計を付ける場所あたりになる。このツボは乗り物酔いの他、歯痛、吐き気、しゃっくり、つわりなどに効果のあるツボとか。 この手の商品は昔からあるが、従来と違うのは、電池を使って低周波パルスを発生させる点。 円錐状の突起(指圧効果もある)から、呼吸リズムに同調しやすい低周波パルスを正確にツボへ送り、高いリラックス感を与えることで酔いを効果的な防ぐという。小型軽量な日常生活防水設計だから船釣りにも安心だ。操作は簡単で2種類のデザインがある。定価5600円。 ●問い合わせ/(有)薬 研 ◎03・5248・2723 インターネットで「酔い止め」を検索すると…… 今はやりのインターネットで「酔い止め」をキーワードに検索してみた。ズラリと出てきたタイトルは、ざっと258件。パラパラと目を通してみると、フムフム…目につくのはやはり旅行関係のホームページ。旅と乗り物は切っても切れない関係だけに、乗り物酔いに関する事が自然と多く出てくるのだろう。船や飛行機の旅で酔いに遭遇したという体験記ものがけっこうあった。酔わないための方策をアレコレと親切に教えてくれているページも見つけた。 中でも興味深かったのは宇宙開発事業団「NASDA」のホームページで見つけた「宇宙酔い」。 宇宙飛行士が無重力状態に入ってから数分から数時間以内に吐き気や嘔吐をおこすそうで、初回の宇宙飛行で70〜80%が経験するという。原因は無重力空間での情報、特に耳の奥にある前庭器官という平衡感覚を司る器官を中心とした情報が地上と違うため発症するという中枢への情報の問題と、体液が無重力のために頭部にシフトするための2つが原因として発症すると考えられている、とあった。 予防法は今も手探り状態で、実際に宇宙酔いになってしまった時にはプロメタジンというトラベルミンの約30倍の効果の薬が治療薬として用いられているとか。 このクスリ、宇宙で効くのだから、地上で服用すればどんな船酔いにだって効果テキメンのはず。どっかで手に入らないものだろうか。 オッといけない。吐いたものが無重力状態の船内をプヨプヨ漂っているシーンを想像してしまった。オェ〜ッ! お医者さんオススメの、ちょっと変わった酔い止め法 やはり乗り物酔いの事はお医者さんに聞こうというわけで、京都・長岡京にある串田耳鼻咽喉科医院の串田眞一郎先生にうかがってみた。 船酔いのケースではないが、飛行機の降下時の際の耳の不快感からくる酔いに効くというユニークな方法を教えていただいた。 その方法とは、両手の人差し指を耳に突っ込み、そのまま下に向けて押し下げるというもの。押し下げる力は痛みを感じる1歩手前くらいというから、かなりの力で下に向けて押すことになる。先生によると、耳の付け根にトラブル予防のツボがあるらしいとのこと。知り合いや患者さんに実践してもらったところ、ほぼ100%の効果で不快感が解消されるとか。船酔いにも一度試してみるのも価値あり。 私の船酔い取材、トホホな教訓。 ●編集部/武富純一 船酔い…読むからに見るからに忌まわしいコトバである。昔から私は乗り物には弱かった。小学生の頃のバスの遠足にはゼッタイに酔い止め薬を欠かした事がなかった。今でこそバスには酔わなくなったが、酔い止め薬なしで釣り船に乗ったら100%確実に酔う。酔うのが解っているから酔い止め薬は私にとって船釣りの必須アイテム。竿は忘れてもシゴトになるけど、コレを忘れたらシゴトにならないのだ。 さて某月某日の船釣り取材。 この日、私は釣人に絶大な人気を誇る薬「アネロン」を飲んで上船した。これさえ飲めば船酔いの不安とはキレイさっばりオサラバだ。 ところが、この日はちょっと勝手が違った。釣り始めて1時間もしないうちに、次第に気分が悪くなってきたのだ。 まず額や頬にネットリと脂汗が出てくる。そして生あくび、しきりに飲み込む生ツバ、そして倦怠感……。 やがてもう取材なんかどうでもイイという厭世的な気分になる。お決まりの船酔い症状の進行ステップだ。 そして極め付きのピークは嘔吐。とにかく横になり、もう口元まで迫ってきているミソ汁混じりのゴハンツブたち(注:ナットウ+生タマゴ+ノリ+梅干し入り)と喉元での必死の攻防戦が始まった。吐き気をこらえる辛さったらない、これは体験者ならウンウンとうなずいていただけるだろう。(いっそ吐いたら楽になるのにとも思うが、せっかく食ったものをむざむざと海へ捨ててなるものかという、よくワカラナイ意地もあった)。 ナゼ酔った? 原因は…… ひたすらじっとして、吐き気の嵐が過ぎ去るのを待った。こんな時、時間が過ぎる感覚は長い。1分が10分ほどに感じられ、しまいには「何でこんな苦しい目に遭うハメに」と厭世的な気分でいっぱいになる。 やがて眠りに落ち、薄らいでいく頭の中でひとつの疑問がこだましていた。 「ナゼだ! 酔い止め薬を飲んでいて酔ったことはこれまでなかったのに、ナゼこうも簡単に酔ってしまったのだ?!」 そうだ、思い当たったのはクスリを服用した時間が遅かった事。上船する直前に飲んだのだから、考えてみればまだ飲んでから1時間もたっていない。まだクスリの有効成分がまだ胃の中から溶けだしてないのか…?。 そしてもうひとつ思いあたったのは、水で飲まなかった点。めんどくさかったので、そのままゴクリと胃に放り込んだ。だからよけいに溶け出すのに時間がかかっているのだと推測した。 その証拠に小一時間、横になって起きた時には、私は酔いからはキレイさっぱり回復していた。クスリの成分が体内でようやく溶けて体に回り、効き始めたためなのは疑う余地はない。 つまり、私は薬の成分が効き始めるまでのエアポケットで船酔いワールドにはまり込んでしまったのだ。 この教訓から、遅くても上船の2時間前には薬は飲んでおいた方がいいだろう。もちろん水で飲むことも忘れずに。 また、これは「正しい使用法」に反することなのだが、船に乗る前夜、寝る前に一錠飲んでおき、上船直前にもう一錠飲み足せば、もう万全といっていい。 いつもはそうしているのに、この日に限って気を抜いて前述のような事をしたためにエライ目に遭ったというわけである。 船酔い人へ捧げる「酔わないヤツこそ変だ!」理論。 考えてもみてほしい。そもそも人間という生き物は不動の大地の上で何億年もの歳月をかけて進化してきた生き物である。食うのも寝るのも狩りをするのも、ドッシリと動かない大地の上で営々と続いてきたものなのだ。 不動の大地の上での生活こそが基盤の生き物にとって、足元が揺らぎ続ける船の上という事態は、人類の進化史上、起きえなかった異常事態。 外敵からの攻撃には、身をすくめる、目をつぶる等の危険対処システムがしっかり頭に組み込まれているのに、地面がユラユラ揺れ続いたらどうするかという対処法は残念ながら脳ミソには全くインプットされていないのだ。 そんなわけだから、船に乗ったらオカシクなるのは、全く当然と言える。これで変にならなかったら、それこそが変なのである。 こうした前提を踏まえた上で私は言いたい。 船に酔うのは当たり前で、酔わない人の方がそもそもオカシイのだ。つまり、酔わない人というのは平衡感覚が鈍い人たちなのだ。酔わない人への負け惜しみもかなりあるのは認めますけどね。 |
