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続・明石沖のメバル釣り 99/5月号
●南村健治
この3月からクラブの会長を引き受けることにした。 クラブというのは「阪神沖釣りクラブ」のこと。 で、そんなことは関係なくくだんの件がバレた。 完全にバレちまったのだ。 こう見えても僕は気が小さい。 顔は人並以上に大きいが、気は人並以下に小さい。 ノミが憐れむくらいに小さい。 だから例の事は絶対にバレないように、はしゃぎすぎないように行動をしていた。 いきなり会長を引き受けたとか。くだんの件とか、例のこととか書いてしまって、ごめん。 「訳、わからんやないか」 と、「沖釣り月誌」愛好者の皆様のお叱りを被る前に順序だてて説明するべきであった。 が、しかし、気が小さい上に 万事に理解力が乏しく、重ねていうなら道に迷ったヤギのように状況の判断力に欠けている僕は大いにあわてたのである。 状況というのはこうである。実は今月は先月号の続きを書いているのである。 先月号をたまさか読んでいないヒトには申し訳もございませんが、ほっときますのである。 とはいえ、たまさか読んでいないヒトが多数おられるという可能性もあるので少しだけ先月号の内容を説明しておこうと思う。 釣具店に於ける、よくある事故のことを書いた。 電動リールを一ケ。 釣竿を二本。クーラーを一ケ。 それらを、思わず買っちまったのだ。 べつに大したことではない。ただそれだけのことである。 が、しかし。 家にはそれらの数倍の、いや物によったら数十倍の、いわば在庫があるにもかかわらず。 僕は、白鳥のような僕の妻と約束をしていた。 『もう釣具は買いません』、と。 しかし、先月号ではその約束を反故にしちまったのである。 白鳥のような妻は理解できないのであろう。 何故、釣竿がそんなにたくさん必要なのか。 リールにしたってミカン箱にふたつもあるではないか。 クーラーなんかはクーラクラするほど積み上げてあるではないか。 ヤギのような僕は、白鳥のような妻のギモンに即座に答えられないのである。 答は、いつも。「魚釣りは深いんや」と、メェメェ蹄くのである。 それにしても何故バレたのであろう。 リールはなにげなく、いわば以前からミカン箱にあるように乱雑に入れておいた。クーラーは闇夜に紛れた猫のようにこっそりと、しかも同色のを選んでその上に乗せておいた。 竿は、竿はふつうに置いた。 策を労さずともよい。一本や二本増えてもわからないほど、竿だらけなのである。作業は完壁であった。ふむ。ふむ。 3月14日。 メバル釣りに出掛けた。 クラブの例会なのです。行先は、明石。 イカナゴが出回る頃である。メバルが狂ったようにイカナゴを食いあさるのである。が、しかし、今日は趣向を変えてみた。 擬餌で迫るのだ。 サバ皮。ハゲ皮。 ナイロンの切れ端。未使用のスキン。 擬餌で釣るのは僕だけ。 会長を引き受けたのでウデの違いを見せたかった、のではない。 イカナゴはハリに刺しにくい。ピンピン。プニプニ。 1匹つかまえるのに難儀する。 サバ皮やハゲ皮だと、ね、簡単である。 それにハリ数も多いのでメバルの目に触れやすい。 なんとも、安直な発想である。 だから、難点がひとつある。 技がいる。 誘いの技がいるのだ。 僕はこの誘いにあまりなれていないのである。 果たして、釣果はあった。 写真を見ていただきたい。 四連のメバルである。 取り込みは船頭の助手さんに助けてもらい、そのまま写真をとらせてもらった。 無理をいって。 新会長の活躍はその後も続くのであるが気になるのは例のこと。 何故、バレたのか。 家に帰ってからいつものように釣具の後始末をした。 マンションの屋上で竿を洗いながら、ふと思った。 そして、愕然とした。 リールもクーラーも竿も、あれだけ細心の注意を払い、完壁に事後処理をしたにもかかわらず、ことの始終が露顕したのは、あろうことか、この屋上で新品の竿を振り回していたのである。 嬉しそうに。 いかにも買立てというように、竿の調子を楽しんでいたのである。 僕の様子を見ていた近所のアヒルが、 「お宅のご主人、釣竿を振り回したはりましたで、嬉しそうに」と、言うたのかもしれない。 以前からある竿ではそんなことをしないから、白鳥妻は異変に気付いたのだ。 妻の詰問は厳しく、監視の目もうるさくなり、僕はメェメェと啼くだけの日が続いている。 「メヘエ〜」 「メヘエ〜」 しあわせ家族計画なのである。 ■問い合わせ 兵庫県明石/鍵庄 TEL.078・913・9035 (俳人・阪神沖釣クラブ)
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