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大地震、魚が鳥が教えてくれた。 大阪市立大学阪神大震災学術調査団、前兆現象を集めて活かす。 未曾有の大被書をもたらした阪神大震災。その発生前に動物や自然の様子にいつもとは逮う“前兆現象”はなかったか? こうした情報を一般市民から草の根的に寄せてもらい、今後の地震予知に役立てようとする試みが大阪市立大学阪神大震災学術調査団によって進められている。団長の弘 原海(わだつみ)清教授のお話をうががった。 10日間で1200件を越える情報が 同グループがテレビ、新聞等を通じて阪神大震災の前兆現象と思われる情報の提供を呼びかけたのが2月10日。それから約10日間で近畿を主に全国から1200件を越える幅広い情報が寄せられた。 2月24日、集まった情報のうち、とりあえずは目を通せた850通分、829例についての中間集計結果が発表された。その内容は身近に目撃された動植物の異常や空、大地の異現象などに加えて、具体的な地震の予知法や、逆にこうした事象の非科学性の指摘など多岐に渡るものだった。 例を上げると、動物では犬猫の異常(錯乱、逃走)などに加えて 「金魚が砂の中に潜っていた」(1/16長田区) 「水槽で冬眠中のカメがガサガサ動きだした(1/17AM1時・京都)」 「鳩が騒ぎ壁などに衝突しながら飛んでいた(1/17AM5時・寝屋川)」 「カイコが同じ方向を向いて一列に並んでいた(1/14茨木市)」 「ジュウシマツがカゴにぶつかりパタパタしながら飛んでいた(1/16夜・西宮市) 「木が真っ黒になるほど群がっていたカラスが一羽もいなくなった(1/16須磨区)など。 釣人として気になる魚関係の事例としては 「ボラの何百という群れが何力所にも見られた(1/14淡路島) 「池で百匹ほどの魚が同じ方向を向いて浮かんでいた(1/15氷上郡)」等。 またザリガニなどの産卵停止、脱皮停止等の異常も報告されている。 ただし、こうした異常行動で動物は厳密には地震を予知しているわけではない。何らかの危険信号を感知し、これらから身を守る自己保存的な行動ととるのが自然な見方だろう。 こうした行動が地震後「あれは地震前のサインだったのか」と人問が理解した時、前兆現象として記憶され、これまでにも歴史的な伝承として語り伝えられてきたわけだ。 また、人間が感じたものとして 「数年前から地震の前には耳鳴りがしていたが、今回もものすごい耳鳴りがした(1/15静岡)」 「電車内が三宮付近で暑く感じられ、経験のない電車酔いをした(1/16PM3時)」 等が報告されている。中には微小な地震でも東部の地震と西部の地震を識別できるなど高感度地震計顔負けの能力を持つ人がいることもわかった。 ただここで注意したいのは、中には前兆と断定しがたいものも含まれているということ。例えぱ「この31年間で生まれて初めて39度の熱を出した(1/16堺市)などは、まさに地震前の異常かもしれないし、たまたまその日に体調が悪かっただけで全く関係なかったかもしれない。犬猫の異常例でも、普段と全く変わらなかったケースも多くあったことも事実だ。 しかしながら、こうした意見に弘原海教授は「あくまでフィールド科学の立場に立って提供者の体験に謙虚に耳を傾け集計し、伝えていくのが大事」として、今の所、無駄になった報告はほとんどないという。 今後は時間をがけてより詳細な分類・集計を行い、動植物、物理、気象、医学など各分野の専門家の協力を得て成果を明らがにしていく計画だ。 住民参加の異常情報共有システム「PlSCO」 同グループでは、将来再び起こりうるかもしれない地震災害を少しでもなくすためにPISCO(Precursor Information System by Citizen's Observation)の実験システムを開始した。 これは住民参加型の前兆的異常現象の共有システムで、なんらかの異常を複数で確認できた時、各自がFAXで情報を送付するというもの。集まった情報は各メディアを通じて発表していくという。システムの基準は実状に応じて試行錯誤で更新していく。 ただし、これは「地震予知」をするものではない。現代の科学では地震の予知は、その時問も場所も予測不可能。このシステムは異常現象をみんなで持ち寄り、その集計結果を総合的に共有することで「ある地域で多くの異常情報が寄せられているので注意が必要」といった呼びがけを行い、住民の冷静な行動がとれるよう支援するのが目的だ。 実験期間は直下型地震の最大余震の発生が考えられる期間を想定して、一応一年間とし、以後はより大きな組織べース、さらにはインターネット、パソコン通信ネット等の国内外の広域ネットワークに発展させていきたいと同グループでは考えている。 釣人はいつでも自然の最前線 会見を終えた後、弘原海教授から「実はお宅のようなマスコミさんが来てくれるのをずっと待っていた。魚や海の様子は釣人が一番よく知っている。あなた方を通じた釣人や船頭さんたちからの情報提供と協力をぜひお願いしたい」と強く念を押された。 釣りという趣昧は、魚、気象等の大自然と対峙し、常に自然の最前線と向き合うことで成り立つ趣昧であり、それだけに自然や生き物(特に魚)を観る機会はこうした趣昧の無い人と比べると格段に多い。釣人はいつでも自然へ向けられた敏感なセンサーでありアンテナなのだ。因みに今回奇せられた情報の内訳は、空の現象、鳥、大地の変化等の情報が8割近くを占め、魚に関する情報は6パーセントとまだまだ少なかった。 あなたも情報提供にご協力を 同グループではPISCOへの情報提供を広く呼びがけている。もちろん魚や釣場以外の情報でもOKだ。地農の前兆的と思われる様々な異常を二人以上で確認できた時は、ぜひ下記までその様子を送って欲しい。 <付記> この理念・構想は、その後、岡山理科大学総合情報学部へ引き継がれ、現在、地震危険予知プロジェクト「PISCO」として、以下のホームページが開設されている。 [地震危険予知プロジェクト/PISCO] http://www.pisco.ous.ac.jp/ 前兆証言1519! A4変形 定価2300円 東京出版/03・5952・9180 あの忌まわしい阪神淡路大震災。本書はこの震災の起こる前に目撃、体験された1519件 の前兆現象情報を集大成したもの。現象は空と大気の異常、大地の変化、人間、魚類、鳥類、 植物の異常など多岐にわたり、これらの生々しい証言を分析、掲載することで、将来また起こ りうる大地震の予知の可能性を追究している。 編者は元・大阪市立大学理学部長・弘原海(わだつみ)清氏。 釣人として気になる魚類の異常は「いつも釣れる小アジが釣れない」「アオリイカが大漁」 「ボラがびっしり頭を北に揃える」 「カレイが釣れない」「コイが中層に集まる」「ハゼが水槽を飛び出る」等の体験、 目撃談が68件掲載されている。 現在もPISCOというネットワークで前兆現象収集活動は続いている。 釣人は水辺・魚・自然の最前線の観察者でもある。こうした異常現象に気を配り、情報を提供 していくことで予知研究は地道だが着実に進んでいく。なお、経費を差し引いた初版の印税は すべて震災への義援金として寄贈される。 |