月刊つりのとも'98年11月号より



村田 満「竿運快釣」-28-
神通川の18連チャン。ここで帰ればよかったのです…

村田 満

 ヒトは昇り調子の時は何をやってもうまく行くものです。
 ぼくは今シーズン8月1日の報知オーナーカップまでは、トントン拍子でした。7月27、28日のダイワのアユマスターズも来年のシード権はとれました。報知の場合も8位入賞でシード権はいただきです。ただし、それ以後、下降です。
 ケチのつき始めは、新潟県村上の三面川へ行った時です。
 それまで、三面川は三ケタ100尾の快進撃でした。ぼくが行った8月5日は、ダム放水が始まって本流は釣りにならない状態でした。やむおえず、支流の高根川へ。
 この時の高根川は、水温朝18℃昼から20℃と、関西の川と比べて低いのです。アユは、瀬よりトロ場に多いハズです。
 ぼくは8月3日に日高川の長子橋で67尾のアユを釣っています。水温25℃、熱い日高川でした。深場から浅場になる瀬肩のカケ上りが入れ掛りのポイントでした。
 ヒトは、調子が落ちてきますとひとつの型にとらわれます。
 瀬肩が釣れる。パンツ(三角波)が入れ掛りになる。
 日高川の高水温、人工アユの友釣りを、三面川支流高根川の低水温、天然アユに応用しようとしたのです。ぼくが瀬肩にこだわって、昼まで19尾にしかなりません。その時、地元のプロ高橋与吉さんは30尾をあげていたのです。
 トロのヘチ、草の茂ったウロの中ばかりを狙っていたのです。見ていると頭上に木の枝がかぶさって長いサオの使えない所を釣っています。
 サオは7.2mです。
 ぼくは9.5mの赤い鳥T中硬硬です。2m以上ちがいますから頭上の木の枝はうまくかわせません。
 高根川のアユは13〜18cmの小型です。大アユとちがいまして、警戒心はうすいのです。しばらく静かにしていると、足元に近づいてきます。なるほど地元プロは慣れていると思いました。
 水中糸もナイロン03号です。
 わざと岸よりの草にこすりつけて、オトリを岸のウロ穴に侵入させます。なにより驚いたのは、その釣れるアユの大きさです。瀬肩を釣ったぼくの平均サイズは16cmで、プロは18cmあります。
 村上の友釣りなんて、たかがしれている。7・2mの古いサオや0・3号の太い道糸なんて、ぼくの長い9・5mのサオや極細金属水中糸0・03号にかなうハズがない。甘い物の見方でした。
 アユの友釣りは、場所が第一です。サラ場、手つかずの場所にいるアユは釣れるのです。やりかすの場所にいるアユは、なかなか、釣れません。この差が、19対30の匹数の差になって表われました。
 場所、場所とそれから高根川のトロ場のヘチ狙いに切り替えます。慣れないせいか夕方暗くなるまでやって50尾にしかなりません。村上まで来て50尾とは、話しがちがいます。三ケタが簡単に達成できたハズなのに。
 さて、次の日は、大雨です。三面川の本流も支流も釣りになる状態ではありません。ぼくは大阪へ逃げ帰りました。
 8月10日、富山の神通川です。午前6時に上流・大沢野大橋の左岸下流に入ります。トロ場です。水温18℃しかなかったからです。
 三面川の学習効果を活かそうとしたのです。ところが気温は28℃もあって暑いのです。午前8時まで3尾、水温が20℃に上昇します。
 ここで、橋かみの荒瀬の肩へ移ります。
 18連ちゃんの入れ掛りになったのです。午前10時に引き舟に入らなくなって、元の橋下流へ。帰って活かし缶に移します。
 この時、対岸の方がサオがよく曲っている、という助言がありました。バカなことですが、18連ちゃんの橋かみの瀬肩へ行かずに、右岸の橋下へ行ったのです。
 4尾でした。ぜんぜん追いがありません。18連ちゃんに帰るべきなのに、昼からは、下流へ移動です。
 ここで、サオを折って、8尾にしかなりません。合計33尾が神通川の一日の釣果です。12時間やってこのカズです。
 次の日は、大雨カミナリです。ホウホウのてんで逃げ帰りました。
 ツキの無くなった者は、釣れない川ばかりへ行きます。8月22日は、またまた福島県の伊南川です。
2万円の旅費を使って。来たのは山里橋の下流左岸です。
 午後2時、20cmの養殖オトリを瀬ワキに送り出すなりゴツンです。
「やった」とサオをあげたら18cmのウグイです。次も次も5尾のウグイで2尾の養殖オトリをつぶして、川のド真中へ立ち込みます。
 今度は、グワーンと鐘を鳴らす大アタリです。サオをタメるまもなく、ヒューンです。ムチャ、クチャ引き回されて、ようやくすくい込んだのは25cmの巨アユでした。
 これをオトリに、瀬の波立ちへ引き込んで行くと、ガツンです。
サオをタメる。いや、タメようとしたのですが、水中糸がヒラヒラ
です。とにかく、この日はプラス2尾にするのがやっとでした。
 8月23日同じ伊南川で午前8時から午後5時まで、9時間14尾、超トロ場の池の中が入れ掛りポイントだったのです。ただし、一度ぐらいの体験では、その池のような流れのない所を積極的に攻めに行けないのです。
 8月24日、同じ伊南川で6尾でした。あえて、池の中を釣った者は20尾以上の釣果でした。
 これを運命の降下といえば大げさです。ぼくは、あまりにもあちらこちらの川を回り過ぎて、自分の友釣りの型が出来あがらないのです。
 このままシーズンが終ってしまうのか。それとも型がそれなりに出来上って、大釣りが出来るのか。