月刊つりのとも'99年1月号より



村田 満「竿運快釣」-30-
人のいない川は釣りやすい、ウのいる川は釣れない…
一大発見です。

村田 満

 釣人の少ない川のアユは釣りやすい…一大発見です。
 下越の村上を基地にして釣りまくった新潟や山形のアユは、まさに赤子の手をひねるようなものでした。
 都会から遠く離れているから、人がいなくて楽に釣れる。
 近くの川ではそれができない。
 ところが、11月13日、平成10年最終の友釣りに近くの日高川へ行きました。時期はずれです。
 誰もおりません。
 アユもいないハズでしたが。
 ウロウロするうちに、アユのカタマリを発見しました。
 今の友釣りは、アユさえ発見すれば釣ったも同然です。
 サオ、イト、ハリはよくなっていますし、釣り方もよくわかっております。
 11月13日のこのとき、アユが釣れる原理は、ナワバリのケンカではありません、産卵のヒッツキ行為によるものです。
 オスがメスに体をひっつけにくる原理習性を利用するのです。
 正直、セックス応用の友釣りはこれまで面白くない、罪悪になると思っていました。
 でも、不調のシーズンで欲求不満が募っていました。
 いつかは、この不満を晴らしてやれ、と待ちかまえていたのです。
 11月13日の一週間ほど前に、日高川で、一日やれば二ケタのアユが釣れる情報が入ったのです。
 水況も安定して、サオが出せる状態になっていたのです。
 11月8日下見に行きました。
 それまでの友釣りのように、玉石や岩盤を狙ってやったのですがぜんぜん釣れません。
 この日高川で友釣りをしたのは9月12日20尾が最後だったのです。
 約50日間やっておりません。
 イヤ、一度大会に参加するために10月11日にやっています。1尾でした。とにかく、やってもやらなくとも日高川ではほとんどゼロが50日間続いたのです。
 50日目にやった友釣りは、戸惑いだらけでした。
 これまで大不調でしたから、ゼロで当然と落着いておれました。
 小熊の瀬で反応ナシが下見8日の実体でした。
 毎年なら下流へ落ちてきた落ちアユの釣れる所です。
 ウの大群がいて、追い散らしているようです。
 この日、上流の船津で釣れるのが分かりました。
 それで、13日にその船津エンテイかみのヨコゼに来たのです。
 午前8時でした。
 悪いことには、ウが20羽ほど陸にあがって羽を休めていました。
 同行の陶山さんが「朝めしにたらふくアユを食べて、河原でいっぷくしているのだ」と説明してくれました。
 前回の小熊でも、今回のヨコゼでも、ウのいる所にアユはいませんでした。
 憎くきウの野郎めです。
 ウのいる川は、友釣りができません…一大発見です。
 かくて、日高川は釣人のかわりにウが増えて、友釣りになりませんでした。
 ただし、ウはあくまで鳥です。
 人間のように、あらゆる所をさぐり回るわけではありません。
 瀬の速い流れには、その図体の故にもぐり込めないのです。
 チャラ瀬のような浅瀬ではアユのようなスバヤイ行動がとれません。人間だけです、あらゆる川の部分をシラミつぶしにするのは。
 この時も実のところ陶山さんがアユのいる所を発見したのです。1m幅ほどのホソの流れにアユが溜っていたのです。
 かくして、釣人のいない川のアユは入れ掛りになる。一大原理の実行になりました。
 午前10時から午後4時まで、6時間65尾の入れ掛りです。
 平均サイズ18cm、白いアユも黒アユもいました。
 この時の友釣りは、場所として瀬落ちが一応の狙い目となります。
 盛期とちがいまして、バラス底の砂と小石が混じる所で釣れます。
 群の大きさによって、同じ所で10尾も掛るかと思えば、3尾で終ることもあります。なにしろ魚影がソコに確認できて、ソコで粘っているとソコのアユが掛るのです。
 平成の友釣りは、粘りと辛抱といわれています。
 11月の友釣り、とくにアユのカタマリを見ながらの友釣りは、粘りと辛抱です。
 他に移って、新しい釣場=大群を発見することは、まず、不可能と思わねばなりません。なにしろ時期が時期ですから、宝クジが当るほどにしか釣場には当りません。
 これは盛期にもいえることです。
 揖保川で毎日、雨の日も風の日も友釣りをしている陶山さんによると「平成10年でも一日120尾のアユが釣れた」といいます。
 引原川ゴンボの瀬で、釣人のいない雨の日なぞ、一日午前5時から午後7時まで、14時間連続でやれば150尾も不可能ではありません。
 ヒトが無し。
 近郊の川でもあるのです。
 宝クジですが。
 大穴を当てる。
 この方法があるのです。その方法とは…
 @時期をずらす。
 風の日や雨の日に友釣りをするのも、気分的にはノリませんが、ズレておりますから、三ケタ釣りになるのです。
 11月の友釣りも完全にズレておりますから、釣れない日高川で65尾も釣れるのです。
 A情報のズレを見抜く。
 この反対に解禁日も時期が早くて釣れないとウワサが立てば、早くから三ケタ釣りになります。
 誰もいかないから千種川や吉野川上でよい目ができたのです。
 野洲川や愛知川、安曇川で三ケタ釣りで、どんどんアユが釣れたのも「湖産が病気」という情報のズレによります。
 B場所をずらす。
 水の美しい上流にアユがより集まる。支流の澄んだ水にアユが登る。などと言われて、上流支流現象が目立つ昨今の友釣り河川です。
 日高川なぞ、上流の大熊料金所とか支流寒川谷で50〜60尾の大釣り、有田川でもダム上の美しい水の流れる所で大アユの入れ掛りといわれていました。
 ところが、全国を歩くうちに、JR鉄橋下が入れ掛りになる、という下流現象が分かり出しました。
 一日219尾の角川から101尾の胎内川、静岡県の興津川さえもが下流にあるJR鉄橋下が優良釣場になっていたのです。
 有田川でもJR鉄橋下は大アユの入れ掛り場所になっていました。
 日高川の鉄橋下は大トロで釣り不可能ですが、思わぬ下流六郷ノ瀬で超入れ掛りでした。
 もちろん、釣人は少なかったのです。
 こうして見ますと、この釣れないハズのシーズンでも釣れる方法はあったのです。
 自然のサイクルがずれて、たまたま悪かったのですが、アユの友釣りは衰退することはありません。
 それは、なぜか?次号で書きます。(大阪市在住)