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村田 満「竿運快釣」-12- |
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竿のトクとは何か |
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愛知川の解禁日、ぼくは前日にヤブ川で18尾の鮎を釣って自信満々、意欲充分で乗り込みました。5月24日、午前5時です。 組合事務所の裏、紅葉橋の下の右岸早瀬の肩に立ってオトリ15cmを送り出します。 今年の友釣りは、意外と瀬肩が早朝から有効です。浅場が釣れるので数も延びます。一日200尾の目標は達成できると思われます。 愛知川は琵琶湖産の本場であり川は鮎であふれかえっていると判断しました。ところが、解禁日の朝だというのに誰も友釣りをする人がいません。 ぼくは、二年前の解禁日を思い出しました。猫の子一匹、川にいない、ぼくだけの存在した解禁日です。 「本日もウソいつわりか」 疑念が生じます。 そのうち地元の英雄・幸野敦弥君が現れました。ダイワマスターズ二連覇、日の日の勢いの幸野君は、犬でなく竿を持っていました。ただし4.5mの毛バリザオです。 もう、これですべて読めました。 愛知川は「徳」のない川です。人から年券代金六千円をとりながら鮎を入れていないのです。 顧客サービスをしない超効率を求める川です。 金がすべて、やらずブッタくり、ぼくのように「ムダ」をしません。 徳というのは、遊び心から生まれます。 愛知川も「つりのとも」を見習わなければなりません。「つりのとも」はムダ (遊び心)を平気でやってきました。たれ流しがすぎてやがて会社が傾くほどになったこともあったようです。 愛知川はその徳の元であるたれ流しがありません。徳は無為によって生ずるともいいます。 田舎者が下手に欲がつくと無為に意義を見い出せないのです。 聞くところによりますと琵琶湖の遡上鮎を、愛知川では水のたれ流しをやめて皆殺しにしてしまうそうです。 今年もあと一週間、青山頭首口より水をたれ流しておれば大豊漁だったとか。 そのムダをできない政治家達?(組合幹部)によって、本年も愛知川は死にました。 徳とは、ぼくは知りませんでしたが人を活気づけます。 明らかに今日のぼくは徳によって成り立っているのです。他人の徳です。 この日も組合裏でボウズを食らい、川にいたビワマスの子を釣っていた幸野君に「釣れるところに連れて行け」とせがみました。 もしボウズなら平成9年の日本の友釣りがダラケるからです。 幸野君は連れを三人呼んで、四人で下流からダム上流の釣場まで案内してくれました。 雨が降ってきました。 午前9時、ダム上の約1kmほどの区画にある立派な川相のところで、8cmと12cmのアユを2尾掛けました。 地元の人達も「なんとか釣らしたい」と願っていました。自分達は「どの程度のものかは常識的に判断がつく」のです。だから竿を出さない。 ぼくは狂っております。 とにかく情況がどうあろうと、「釣りたい」のです。 5月21日、ヤブ川で14尾のアユを友釣りで釣って、ハエもアマゴもやめて、すべてが友釣りになりました。22日は取材で行けず。23日は再びヤブ川で18尾掛けました。自分ながら、一日二日で急速に友釣りが上手になりました。これなら三桁は簡単と腕をさすりながら、愛知川に乗り込んだのです。その結果が、コレです。 ぼくのこの日の課題は60万円の竿VIPと36万円の竿SPとの比較でした。いきなり、徳の話から現実の損得の話になります。 ダイワの60万円のVIPを買った人達には、誠に申し上げにくいのです。 この日もVIP9.5m中硬を使ってみました。 グニャグニャのアメです。そんな感じがしました。 T中硬硬SP9.5mを持ってみました。 竿の感じがしました。 目方は、263gと264gです。 1gの違いですが、一方はアメで、もう一方は本物の竿です。 風の中で使い比べて、これは値段の60万円が36万円に負ける逆転現象が生じたと判断できました。昨年の竿のテストで、ぼくはSP3ビキザオの誕生を予告しました。 その3ビキザオを製品として、手にして改めて違いを知りました。凄いのです。パワーとか感度とか軽さとか、道糸の滑り(糸の絡みにくさ)とか、オトリの止まり、泳がせ引きとか、天糸の着脱とか、握りやすさとか、テキへの警戒心とか、フシののばしやすさとか、合わせマークの見やすさとか、先栓元栓の開閉とか、メタカラマンの使用具合とか、竿胴と穂先の長さの比率とか、替え穂はパワータイプでなく泳がせタイプが必要とか、それはそれは長い長い竿の内容の差があったのです。 ハッキリ言って、SP型以外の竿はアユザオとして一段おちたのです。 ぼくは愛知川の解禁日、平成9年5月24日でもって、竿の歴史は変わった、と断定しました。 アユは2尾しか釣れませんでした。しかし、釣れる釣れないに関係なく、竿は 「硬くなりオトリ操作(運転)がしやすくなった」のです。カーボンとグラスとの差ほどです。 60万円のVIPを買ってくださった人達には徳のない話になりました。 ダイワ精工株式会社になりかわり、これは陳謝いたします。社長以下、企画部長もSPの重大さに気づいていませんでした。これは昨年の東レフィッシングのマジックハリスと同様なのです。 実戦部隊の人間にしか理解できない現象であります。 VIPがアメだなんてもし本当ならば(先にトップ連中が分かっていたら)これは社会問題になるでしょう。 性能の悪い竿を高く売る。 悪徳商法となります。 救われるのは、顧客はVIPの感度の良さとパワーの竿の力持ち金太郎に満足できることです。 VIPもそれなりに長所はあります。 何しろ銀影競技と比べて、ゾクゾクVIPといわれているのですから。 VIPを初めて使ったら興奮で夜も寝られなくなった人もいるのです…。 ですけれど、SPなら社会生活が破壊される不幸につながる可能性があります。 マンジュウ恐い、竿恐い。(大阪市在住) |
