月刊つりのとも'97年10月号より



村田 満「竿運快釣」-15-
関東の平成9年は、一ケタ釣果が常識です



 岐阜県の益田川、福島県の伊南川、栃木県の那珂川を8月に入って釣り歩きました。関西の川が台風の出水で釣りにならなかったからです。
 しかし正直、関西は恵まれています。中部地方から東へ行くほどに、人ばかりがやたらに目立ちます。
 釣果は一ケタに減少です。
 釣れない。釣場がない。
 日高川の下流、例えば松瀬、船津が、いくら混んでいても、竿を出すのをためらうほどの混雑ではありません。
 栃木の那珂川小川地区。川幅は200m近くあります。そこに4列になって、所によっては5列になり人が並びます。ぼくも並んでやってみました。
 8月9日土曜日/8匹
 8月10日日曜日/6匹
 那珂川の平均釣果が一日7匹とは、日高川の70匹からすると10分の1です。
 この時感じたのは、那珂川の友釣りは水泳やボート乗りと同じ水遊びであるという事です。
 水遊びとは、自分の体を水に浮かして楽しむ事です。腰まで流れに立ち込めば、「プカプカ浮いたかヒョウタン(瓢箪)軽るそうじゃないか」この世は極楽なのです。
 那珂川へアユを釣りに来たと思えば腹も立ちます。瓢箪の川流れに来たと思えばウキウキします。伊南川に12日漬って悟りました。
 伊南川は那珂川からさらに2時間もかかります。なぜ、遠い伊南川に人は行くのか。
「瓢箪になるためです…」
 僕は、ダイワアユマスターズに出場するためと、満友記のビデオ撮りをするために伊南川に12日間漬りました。
 マスターズは7月28日に、1勝2敗で負けてしまいました。その後の満友記Sのビデオは、瓢箪です。
 伊南川に、これほど興奮する釣場があったのか…です。思わず身が浮きあがりました。
 馬場ポイント/青柳橋下流の約1q
 富沢ポイント/支流富沢川合流点
 まさに、その流れに身を浮べるだけで幸せを感じるのです。 アユもドーンと釣れました。8月4日/新伊南川橋12匹(午後半日)
8月5日/青柳橋下流31匹
8月6日/山里橋上下22匹
8月7日/楢戸橋下流9匹(午前半日)
 合計74尾、一日平均18・5匹 だいたいのところ一時間2尾というのが伊南川の平均的な釣れ方になります。
 大型23p120gがドーンと音をたてて掛ります。
 釣人は、那珂川のように多くありません。それでも空いた瀬はありません。関東の友釣り人口は、よほど多いのでしょう。
 ぼくは思います。
 アユ釣りは衰退とか言われております。
 それは釣果の衰退であって、釣れなければ、釣れないほど、アユを釣りたくなる「繁栄の時代」に入ってきたのではないでしょうか。
 量より質で、数は出なくとも大型で楽しむのです。
 ぼくは7月31日に岐阜の益田川に入ってそれを感じました。益田川での成績は…
 7月31日/朝霧橋下流14匹
 8月1日/水泳場上み手8匹 8月2日/朝霧橋下流 8匹 3日間合計30匹、一日平均10匹。昨年の日高川9月18〜20日の3日間合計347尾からみれば11分の1以下の貧果です。
 それでは、益田川に人はいなかったのでしょうか。釣れなくとも、人だらけでした。
 瓢箪の川流れ、水に漬れば、漬った分だけ世の中の負担は軽くなるのです。
 現代は、先が読めない時代なのです。こうすればアユが釣れるなんて言えません。
 言えないけれど、そうしたらどうなったのか、ということなのです。
 例えば、竿です。
 昨年の9月26〜27日に、今年の「青い鳥」のテストをしました。日高川の下流、松瀬、三百瀬、船津で84匹、74匹と釣れました。
 青い鳥、幸せの入れ掛りは、F中硬硬9.5m256gが、一番ピッタリ日高川のアユに合うと結果が出ましたが、その後F中硬硬9.5m256gはどうなったのか。
 今年の解禁日5月26日は、最高の評価を与えられました。
 幸せの青い鳥でした。
 パワーがあり、感度が良く、穂先がシャンとしていてオトリがうまく引きについてくる。
 ところが、6月下旬から7月上旬になりアユが大きく育つと名竿「青い鳥」は、大アユに対して力不足となったのです。
 むしろ、硬すぎるとされたT中硬硬9.5m264gが適合竿となりました。
 ぼくは、平成7年のようになると予想して、揖保川解禁の5月26日からT中硬硬9.5m264gばかりで通してきました。
 平成7年、日高川では大アユになって、ブチブチに切られたのです。
 平成7年=平成9年=大アユの年です。
 平成8年=平成10年=数釣りの年です。
 皆さんは、毎年同じ事のくり返しになると、楽な方向に目を向けます。
 友釣りは、今年やった事は、来年の役には立ちません。今年は大アユの年です。
来年(平成10年)は、小アユの年です。
 昨年の体験がムダになったように、今年の体験は来年の役には立ちません。
 友釣りは、毎年変わるから面白く、新鮮です。まじめにやっても成果の無い瓢箪ナマズのつかみにくい友釣りが、来年はどう変わるのか。今秋の、これからの友釣りで読めるのです。
 昨年は10月20日で日高川の、友釣りは終りました。だから、今年は悪かったのです。
 これが11月に入っても釣れていると次の年が豊作なのです。 さて、今年はどうなるのでしょうか。(大阪市在住)