月刊つりのとも[97/08]

フライでブルーギル
湖面に波紋広がるドライフライの楽しみ

 ここ2ヶ月ほどバスばかりに触れてきたので、今回は少し趣向を変えてフライフィッシングで狙うブルーギルに焦点を当ててみた。
 この釣りの面白さについてはカラー頁で述べたつもりなのでここではいつものようにテクニック面から迫ってみよう。

青野ダム

 ダム湖と言うとすぐに連想するのが、岸からすぐに落ち込む急深な斜面や立木、川筋などであるが、ここ青野ダムはそう言った典型的なダム湖とは少し様相を異にしている。
 なだらかなかけ上がりがあり、水藻や芦、葦が生い茂っている。一見天然湖かと間違えるほどだが、さすがに湖中央部の川筋は深いようだ。陸っぱりポイントも多く、ボートを持たない釣人にもうれしいダム湖だ。

 さてブルーギルのポイントだが、芦などの水生植物の際、浅い水中に障害物がある周辺などになってくる。矢野さん、高橋さんの二人組がまず初めにフライを振りだしたのが橋の上から。
なぜかと尋ねると
「橋の上からだとまったくプレッシャーがなく、ヒットする瞬間がよく見えるから」だそうだ。

 白いカディスのドライフライが水面に落ちるといかにも好奇心旺盛なブルーギル数匹が寄ってくる。その中でも元気な一匹が水面まで飛び出してフライをくわえるが、なかなかハリに乗らない。おまけに高さ20mほどの橋の上からなので糸フケもあり合わせも効きにくい。

 それでも何匹か釣るうちに魚の方もスレてきたようで反応は示すが食い込まなくなってきた…

釣り方

 ポイントに着いたら、ブルーギルがいるかどうか確かめる。いたらそのままフラ
イをキャストすればいいのだが、いなければ魚を寄せることから始める。
 フライフィッシングで魚を集めるというのはどういうことかというと、水面をラインで「ピシャピシャ」と叩くのである。こうすると好奇心旺盛な隠れていたブルーギルが何ゴトかと思って顔を出してくる。

 ブルーギルが出てきたらフライを水面に落とす。活性の高いときには魚は上を向いているので、着水と同時に周囲の魚が音につられて寄ってくる。だからなるべく大きな音をたてて落とす方がよいようだ。
 フライを落としたら素早く糸フケをとる。そしてフライの行方を見守る。水面下からブルーギルが上がってくるのが見えるように偏光グラスは必携だ。そしてフライが消えたら手首を返すように合わせる。あまり大きく合わせようとするとワンテンポ遅れるのでハリを飲み込まれることになる。

 取り込みはリールを巻くのではなくラインを手繰る感じで一気に寄せてくる。暴れさせて楽しむと周りの魚が散ってしまうので注意。

 掛かったブルーギルに40cm以上のバスが飛びつくこともあって、ハラハラさせられる。もしバスが掛かったら竿でためてリールでやり取りを。ティペットラインが細いので、無理をするとすぐ切られてしまう。

 この釣りはブルーギルのほかに小さいバスも釣れてくる。ブルーギルを釣るならフライを止めて待つ釣りを、バスを釣るならフライにアクションをつけながら動かす釣りをする。カラー頁でも書いたことだが、同サイズならブルーギルの方が断然引くので、こちらを狙う方が面白いだろう。

タックル

 ロッドは7フィート6インチの♯4のロッド。リールは中型フライリール。ラインはDT(ダブルテーパー)の♯4のフローティングライン。テーパーラインは5X12フィート。フライは♯14のエルクヘアカディス(鹿の毛を使用してシマトビケラを模したもの)。このほかに同サイズのポッパーなども活性の高いブルーギルやバスに有効。

キャスティング

 フライをする上で何につまずくかというと、道具選びとキャスティングの難しさではないだろうか。道具選びは釣具店で店員さんと相談して決めていただくとして、ここではキャスティングについて少し触れてみよう。
 まず握り方であるが、リールを下向きに握って親指がリールと反対側のグリップにまっすぐ沿うようにする。
 次にキャストしたい分だけラインをリールから引き出すが、これは足元に垂らしておいて、竿先からは竿1本強からテーパー分ぐらいラインを出しておくと振りやすい。

 利き腕に竿を持ち、片方の手で溜まっているラインをつかむ。そしてキャスティング開始。キャストをする際には手首を返さないようにする。そして自分の後ろ1時ぐらいの方向にバックキャスト。竿にラインの重みが乗ったらフォワードキャスト(前方へのキャスト)に移る。

 この一連の動きで肘から手首、竿までを常に一直線にしている方がラインへの力の伝達もコントロールもしやすくなる。初めのうちは決して手首を返さないキャストを心掛けるのが上達への早道のようだ。
 このキャスティングの動作を繰り返しながら、フォワードキャストの時にラインを少しずつ出していき、キャストし終えるときに少しラインを引っ張ってやるとうまい具合にラインがループを描いてフライが着水する。

 とにかくフライをマスターしたければ、一度誰かに連れていってもらい、実際に自分で振ってみることだ。そうするとなにかが解ってくるだろう。

「習うより慣れろ」フライ初体験で

 ぼく自信、今回初めて本格的にフライを振ったのであるが、これがなかなか面白い。フライを始めてみたい人には特にお勧めである。なんといっても初めてでも釣れるので楽しく練習できるし、竿一本とフライはベストのポケットに仕舞っておけばそれだけでOKという手軽さも嬉しい。

 ブルーギルを足がかりにして渓流でフライを振ってもよいし、バスを狙っても面白い、海に出てヘヴィータックルでシイラや青物相手に格闘するのもよいだろう。
 フライのタックルを揃えようとすると結構高くつくので億劫になってしまうが、先ほども書いたように店員さんと相談しながら揃えてみると案外やすくて揃えられそう。

 ぼくもフライにハマってしまおうかな、そんな気にさせられたフライで狙うブルーギルだった。

■ブルーギル…1960年に時の皇太子殿下がシカゴの水族館から贈られたものを持ち帰り、それを伊豆の一碧湖に放流した。大阪の淡水試験場にも持ち込まれ、これらが関西一円に放流された。産卵は雄が水底にすり鉢型の穴を掘り、雌に産卵させ雄が子育てをする。かなりの雑食性で昆虫類、小魚などを好む。白身のきれいな身で塩焼き、煮付け、フライなどが美味。
■ロッド:7ft半程度の長さが振りやすくて初心者向き。♯4というのはラインの重さの表示で♯4のラインを使用するロッドという意味。初めての方は♯5〜6が扱いやすく、色々な釣りをカバーできるとのこと。
■リール:DT4F用のフライリール。
■ライン:DT4Fのイエロー。ダブルテーパーの4番フローティングのイエローラインということ。ダブルテーパーというのは先端50cmが細く、次いで3mが徐々に太くなるテーパー状、その次の18mは同じ太さが続き、また3m分テーパー状に細くなり、次に50cm細い部分が続くという構造の25mのライン。9mぐらいのキャストに適している。
■フライ:エルクヘアカディス。オオシカの毛を素材に使ってシマトビケラを模して作ったフライ。この他に水面で音を立てて使用するポッパーも。