月刊つりのとも[98/09]



                        ●編集部 永田 淳
長野県・仁科三湖
青木湖&木崎湖
横山朋毅JBプロに見る
スモールマウスバス攻略法


 スモールマウスバスの存在がクローズアップされてきたのはそう昔のことではない。それ以前から確認はされていたのだが、爆発的に各地の湖沼、河川に勢力を伸ばし始めたのはここ数年のことである。

 ではなぜスモールマウスバスがこんなにも殖えたのだろう。理由の一つに、スモールが冷水を好むことが挙げられる。バスという以上、スモールマウスバスもラージマウスバスも似たような場所で、似たような産卵をするのだが、産卵時期に差が生じるのである。ラージは水温が17度前後になると産卵を始めるが、冷水を好む性質上スモールはもっと低水温で産卵する。水温が低から高へ移行する春に産卵するバスであるから、スモールの方が先に、続いてラージが同じ場所で産卵することになる。

 するとどうなるか?スモールの稚魚が先に孵化して成長を始める。遅れて孵化したラージの稚魚は大きくなったスモールの稚魚の格好のエサとなってしまうの
だ。
 という訳でスモールとラージが混棲した場合、ラージがスモールに駆逐されてしまう。同じことがバスとライギョの関係についてもいえる。
 またスモールの方が敏捷で捕食能力が優れている。そうしたことからスモールの放されたフィールドではラージの小型はあまり見られず大型ばかり、つまり生き残りばかりということがままある。

釣り方の違い

 それではスモールとラージを釣る上での違いを見てみよう。
 ラージを釣るときによく使うメソッド(方法)としてフォーリング(落し込み)やストップ&ゴーというのがある。
 フォーリングでもフリーフォールというテクニックがあり、これはワームなどを立木などに沿わせて垂直に落とし込むのだが、この方法にはスモールはまったくと言っていいほど反応しない。

 また、止めては動かすを繰り返すストップ&ゴーも、スモールの場合だと止めた瞬間に反転してしまうのである。
 いうなれば「バスを釣る」という感覚よりもむしろ「マスを釣る」と考えた方がしっくりくる。
 また名前の通り、ラージよりも開口面積が格段に小さいので細身のルアーの方がよい。

メインはライトリグ
それでは横山プロの実践を見てみよう。
メインに使用したのはゲーリーグラブ4インチ、アライブシャッド4インチ、ベビーミノー、サターンワーム3インチ。リグはノーシンカー、ジグヘッド、スプリットショット。ノーシンカーやジグヘッドはスイミング中心なので、テール(尻尾)が引くだけで勝手に動くシャッドテールやカーリーテール、スプリットショットリグにはサターンワームを使用。

 ノーシンカーやジグヘッドは、キャストしてスローリトリーブ。表層近くを釣るときはノーシンカー、中層から底を釣るときは1/16〜1/8オンスのジグヘッドを使い分ける。普段ラージばかりを相手していると、止めてみたり、アクションをつけてみたりと色々としたいところだが、ただの棒引きが一番良かった。特に青木湖は水質がクリアなのでルアーを追うバスの姿が見えるのだが、ルアーを止めた途端に反転して帰っていくことがほとんどだった。またルアーを水面近くで引いていると、底から急激に浮上してきて追う場面が何度も見られたので、どうも上を強く意識しているようだ。

 スプリットショットリグは、実は一日目の青木湖でボートから上がって陸っぱりを始めた時に初めて使ったのだ。というのもほかのアングラーがキャロライナリグで釣っているのを見たからだ。
 そして配水管と思われる、半分水没した土管に風波が当たり、波立っているところにキャスト。波立っている=水中の溶存酸素量が多い、という考えに基づいたポイント選びだ。

 これが見事に的中。ザワザワと水面がざわついているので、ワームにはアクションを加えずに水流で勝手に動くに任せておいた。キャストしたら、ラインを張らず緩めずで待っていると、「コツッ」と小さなバイト(アタリ)がある。バイトがあったら少し送ってから乗っているかどうか聞いてみる。乗っているようならスィープフッキング(ロッドを大きくゆっくりと煽る)で合わせる。
 ここで横山プロはわずか1時間半ほどで33cmを頭に5匹を揃えた。

木崎湖へ

 翌日は木崎湖へ。ここは動力船が可能なので、横山プロが持参したエレキと魚探をセットして出船。
 青木湖で流れ込みにスモールが着くことが判っていたので、木崎湖北端にある農具川河口へと向かった。
 ここは沖合い30m程までサンドバー(砂州)が広がりその先で、1mから4mまで急激に落ち込むブレイク(かけ上がり)となっている。
 このブレイクの底を3インチのサターンワームのスプリットショットリグで探ったところ、1キャスト1バイトのような状態が続く。なかなかフックアップ(鈎掛かり)には至らないが、それでも3回に1回ぐらいはフッキングが決まる。まるで入れ替わり立ち代わりバスがブレイク沿いに回遊してくるようだ。この回遊性の強さもラージとの大きな違いで、ラージは定住性が強い。

 ほとんどのスモールはスプリットショットで釣れたが、横山プロはスレさせないようにバイトがなくなるとワームのカラーをチェンジしていた。どのカラーにも平均して食ってきたが、スモーク系(灰色)がヒットカラーだったようだ。
 そして45cmオーバーをバラしたのはカラー頁で触れたとおりだがそのファイトは「凄い」の一言に尽きる。スモールのファイトはフッキングした瞬間はあまり引かないので、この時はサイズを判別しにくいが、ボートに近付くと猛然と底へ突っ込む。

 また歯が鋭いので、フロロの4ポンドライン(1号)では少々心許ない。6ポンドくらいあれば余裕を持ってファイトできるだろう。
 これから水温が上がるとスモールは更に深場、およそ8〜10mラインにまで落ちるようになる。そうなると陸っぱりは勿論、魚探がなければ釣り辛くなってくる。しかし、水温が下がる朝夕のマヅメ時はシャロー(浅場)でも食ってくるのでチャンスはこの時間帯だ。

 長野県内ではこの青木湖、木崎湖の他に野尻湖もスモールの有名ポイント。近畿では琵琶湖の北部で結構ナイスサイズが釣れ始めたようで、琵琶湖北湖はスモールエリア、南湖はラージエリアとなる可能性も多分に出てきた。