Web版つりのとも

PLUGGING GAME
佐野一典「プラッギングゲーム」



第6回
バイブレーションプラグ




 一年でも最も寒く、最もバスも釣れにくい季節を迎え、皆様どうお過ごしでしょうか?連載最終回となる今回は、最近のバスフィッシングでは人気・使用頻度共に高く、私のバスフィッシングにおいてもなくてはならない右腕である『バイブレーションプラグ』を紹介してみましょう。

バイブレーションプラグとは

『バイブレーション』(vibration)とは、日本語に訳すと『振動』となるが、まさにこの言葉の通りにプラグ全体が、振動運動を起こすタイプが非常に多い。前回までの『ミノー』や『クランクベイト』はそれらが装着したリップに水圧を受けてアクションを起こすのであるが、実はこのバイブレーションプラグも原理的には同じである。ただそのリップの位置が頭側になっているだけなのである。しかしこれによって、以下のメリットが発生するのである。
図版1…ボディーとリップの一体化によりキャスティング時の空気抵抗が減少し、キャスティングが容易である。(飛距離・コントロールが出やすい)
2…アイ(ラインを結ぶ環)の曲がり等によるアクションの変化・狂いが少ない。よって高速リーリングが可能となる。
3…通常のリップよりも効率良く水圧を受けるので、少ない面積で確実にルアーがアクションし、ルアーのフォームがシンプルになる。(より小魚らしくなる)
 これらのメリットはバスフィッシングのみならず、海の青物やスズキ狙いにも有効なので、最近はソルトウォーター用のものも数多く発売されている。
 バイブレーションはアメリカ製の元祖(コットンコーデル社スポット、ビルルイス社ラトルトラップ、ヘドン社スーパーソニック)を始め、内部に金属球が内蔵されている。これらがアクション時に『ガラガラ…』と大きな音を立てて泳ぐタイプがほとんどであり、その音が非常にバスを誘うのだ、という意見も多い。
 ちなみに本場アメリカではバイブレーションプラグとは言わず、『ラトルベイト』や『リップレスクランクベイト』などとよりこのルアーの特徴を引き出した呼び方がされている。

分類と使い方

《種類》
 バイブレーションプラグの中にもいくつかの種類がある。
・シンキングタイプ(水に沈む物)
・フローティングタイプ(浮く物)
・サスペンドタイプ(水と比重が1:1の物)
これらの3種類が挙げられるが、最もこのルアーの特性を生かせるのはシンキングタイプであり、発売されている商品の90%以上がシンキングでもある。従ってバイブレーションと言えばシンキングを指すことがほとんどであり、ここではシンキングタイプに絞って話を進めてみたい。
《使い方》
 基本的にバイブレーションは、ワームやラバージグのように狭いポイントに着いているバスを狙うルアーではなく、少しでも広いエリアを少しでも速く探るためのルアーである。従って広いウィードエリア(水草が生えている水域)や平坦な岩場といった、明確なピンスポットがなく『だいたいこの辺だろう』と思えるポイントで使用する。
 基本的な使い方はなるべくロングキャストして、バスが追いきれる範囲のスピードでなるべく早くリーリングして使用する。

状況による使い分け〜岸釣り編

 岸釣りでこのルアーが最も効果を発揮するシチュエーションは、通常のルアーが届かないポイントまでキャストし、釣りやすいバスをとりあえず釣ってしまおうというパターンが最も効果的である。つまりこのルアーの『遠投性』が頼りになるのである。
図版 通常のルアーでは届かない池や川の対岸、池のド真ん中等にいるバスは、普段ルアーなど見ることなく育っており、ルアーが届けば一発、ということも多い。しかも滅多に見られないような非常に大きなバスも多い。私自身もこの方法で50m程沖の、池のド真ん中から40cmアップを入れ食いにさせたことは何度もある。
 スピニング+スモールワームで粘りの釣りをする前に、バイブレーションの遠投メソッドをいつもの池や川で試されてはいかがだろうか。
 バスプロの方々におかれても、バイブレーションプラグを水深に応じて使い分けておられる方は少ないが、実はこのプラグ、シンキングタイプでありながらクランクベイトのように潜る水深がほぼ決まっている。岸からの場合は水深が浅い場合がほとんどなので、池や川では底をスらずに、またウィードの上を確実にリトリーブしたい場面も多い。ここでは泳層の浅いものをチョイスしたい。
 具体的にはコットンコーデル社スポット等の軽めの潜りにくいタイプでロッドを頭上に立てながら1秒間に2回転程度のリトリーブで使用する。こうすることで水面からおよそ50〜80cmの層をゆっくりと泳がすことが可能である。
 足元から急深なダム湖・池の斜面護岸などでは、深い層を探れるバイブレーションも有効となる。通常このようなポイントはラバージグ等で狙うアングラーが多いがバイブレーションを底まで思いっきり沈めてから速めに巻いてくることによって、普段は釣りにくい大きなバスが簡単に釣れてしまうことも多い。
 ともかく池・川のバイブレーションはそのルアーチョイス・使用方法によっては効率も良く、さらに大きなバスを狙って捕るための最右翼ルアーと言っても良い。

状況による使い分け〜ボート編

 ボートからのバイブレーションとなると、前回のクランクベイト同様ありとあらゆるポイント・水深で釣りが出来るケースが多いので、ここではいくつかのパターンを紹介してみよう。

1…マンメイドストラクチャー(人工構築物)を狙う。
 桟橋・杭・橋脚・取水塔などのマンメイドストラクチャーの際や周辺をまず遠くから狙い撃つにはバイブレーション・クランクベイトが適している。この場合、狙うマンメイドストラクチャーの水深をおおよそ予測してルアーを選びその中層を引く。
 これは、琵琶湖の取水塔では春(4月)に大変有効なパターンになることがあり、50cm近いバスが一つの取水塔から連発で捕れたこともある。琵琶湖の取水塔は2〜4mの水深にあることが多いのでやや重量のある良く潜るタイプが合う。具体的にはダイワ社TDバイブレーション(107S)、ビルノーマン社ラトルトラップ、スポーツザウルス社バイブラザルスが良い。以上3種は深く潜る順に挙げてみたのでご参考に。

2…リーズ(アシやガマ)を狙う。
 このパターンは春には風の当たりにくいエリア、夏〜秋には風波が良く当たっているエリアで効果的である。バイブレーションの場合はスピナーベイトのようにリーズの中までは攻めきれないが、1mほど水深のあるリーズのアウトサイド(外側)であれば効果的。この場合は水深が浅いケースも多いので、潜らないタイプをロッドを立てて速めのリーリングで使用する。具体的にはコットンコーデル社スポット、スポーツザウルス社バイブラザルスが良い。

3…広いエリアを広範囲に狙う。
 琵琶湖・河口湖に多い広大なウィードエリアや琵琶湖・霞ヶ浦に多い浚渫跡群がこのエリアの代表である。特にウィード帯の場合、ある意味では遠浅の野池の釣りと似ているところがある。
 ウィード帯の場合、バスが日光を避けてウィードの中に入り込んでおり、ワームでの釣りではバスにアピールしきれない(バスがルアーに気付かず)また効率も悪くなったりで釣果が伸びないこともあるが、バイブレーションでは強烈な動きと音でアピールが強く、かつ遠投・早巻きで攻められるので圧勝することも多々ある。ただウィードが水面付近まで伸びる6〜8月ごろには、ルアーを投げる度にウィードが絡んで来ることもあるし、多少風波が出ている時の方が成績はよい。
 このようなエリアでは、日が上がりきる前ならトップウォーターに反応が良いので、そちらも是非試していただきたい。
 使用するバイブレーションはウィードの上面の水深を考えて、ウィードに絡みにくいものを選ぶ。具体的にはティファ社ラトリンジェッター、ダイワ社TDバイブレーションが遠投・早巻きにも対処でき使いやすい。また、各種バイブレーションの1/4OZ(7g)以下の小型のものでも良く釣れる。
 浚渫跡群を広く攻める場合、底質は砂・岩・土のことが多くトラブルが少ないので浚渫の底の凹凸にルアーを当てながら使用する。重くて大型の良く潜るタイプを選びたい。こんな場面ではダイワ社TDバイブレーションが逸品である。ただし、時期・天候・水深によっては、バスがサスペンドする(中層定位)ことがあるので、底を攻める前後には軽くて小型のタイプを使用しても面白い。この時はウィードの場合と同じ物で良い。

 以上、各シチュエーション別に簡単に使用方法例を挙げてみたが以上の様な水深等の違いによる使い分けの他にこのルアーの特徴である『音』による使い分けもある。バイブレーションプラグはルアーの中の空洞に、大小の金属球が仕込まれており、ルアーがアクションすると『ジャラジャラ…』と騒がしく音を立てる。その日、バイブレーションプラグで良く釣れると判断したら、音の種類・有無によって釣れるバスのサイズ・数が大きく変わってくることが多い。ダイワ・TDバイブレーションを例にとると『ノーマル(鉄球)』『ブラスラトル(真鍮球)』『ノンラトル(ラトル無し)』の3種があり、外観・アクション・泳層が同じであっても、音質の違い・有無という要素で使い分ける楽しみもある。例えば全く同じ場所で交互に使い分けたりとか、人の多いところではノンラトルが良かったり…という具合である。
 トーナメントではこの使い分けが決め手になることも多く、是非試していただきたい。

バイト(アタリ)とフッキング(アワセ)

 バスがバイトしてくると、リールを巻く手が重くなる・ロッドが重くなる、といったアタリが出る。フッキングは急ぐことはなく、軽くゆっくりロッドを立てて、リールを速めに巻く程度でよい。ジャンプされるとこのルアーはバレ易いのでロッドを下向きにすれば良いが、初めから下向きにしておくのではなく、ジャンプされそうになった時だけ下向きにしてジャンプをかわす。初めから下向きにしていてジャンプされたら、かわしようがなくなる。
 
使用タックル

 次に私がバイブレーションに使用するタックルを挙げてみた。キーポイントは、重たいバイブレーションを長時間片手でロングキャストしても疲れないことと、掛かったバスがばれにくいことである。以下は岸から・ボートから兼用である。

ROD:がまかつ・ラグゼカマー666(加古川やバスボート)、562(池やアルミボート)
REEL:ダイワ・TD−1Hi(ギア比6.2:1)
LINE:ザウルス・プラッギング(良く伸びる物がよい)12〜20ポンド
LURE:コットンコーデル・スーパースポット、ザウルス・バイブラザルス、ダイワ・TDバイブレーション(107S)、ティファ・ラトリンジェター、ビルルイス・ラトルトラップ等…

 リールは巻き上げが速い方が有利なので、ギア比6:1以上のタイプが望ましい。ラインに関しては、良く伸びる柔らかいタイプを使用している。これは飛距離を出すためと、バレを防ぐためである。昨今台頭著しいフロロカーボン素材のラインは太くできている分、摩耗には強いが、同じ太さ(径)ならばナイロンラインの方がはるかに強いことを知っておいて欲しい。ちなみに私は、現在ではバス用にはナイロンのみで、フロロカーボンは一切使用していない。

 以上、簡単にバイブレーションプラグの基本的な使用方法を早足に説明させていただきました。また今までの連載に関しても、極めて当たり前のことがほとんどではなかったかと思いますが、要するに、プラグを中心としたハードルアーは『投げて巻くだけ』のルアーなのです。しかし、『いつ、何を、どこへ、どう投げて、どこをどう巻くか』で、大きく腕の差が出ることも事実です。『佐野一典のプラッギングゲーム』では、読んで頂くだけで少しでも腕が上がるよう努力いたしましたが、やはり実践から得る腕の向上とは比較になりません。
 これから皆様が本当に楽しい釣りをしていただけるよう、心よりお祈りしております。

(スポーツザウルスフィールドアドバイザー)