'97ALL JAPAN グレ磯 ROYAL CUP
グレ釣りトーナメンターたちの「日本シリーズ」
大分県鶴見崎
取材=1月14〜15日
文・写真=編集部/武富純一
「グレ釣りトーナメントにも野球の日本シリーズみたいなもんがあってもエエのになぁ・・」かつて、そんなことをある釣り好きと話したことがある。
釣り雑誌をよく見る方ならご存じのように、各釣具メーカーには専属のフィールドテスターたちがいる。
そうしたメーカーの枠をエイヤッと取っ払ってしまい、グレ釣りの名手と言われる人たちが一堂に集まって試合、懇親ができればさぞおもしろいだろうという雑談だった。
この時は「まあ実現はいろんな面で難しいでしょうね」で終わったわけなのだが、正にそんな主旨の大会取材が実際に編集部に飛び込んできたのだから、世の中はわからない。
主催したのは、大分ケーブルテレビ放送(株)。なんでもここの社長さんが無類の釣り好きで、開催予算を計上し、各メーカーのテスターさんたち個々に直接連絡をして回り、大会運営の陣頭指揮をとったのだという。
こうして大分県鶴見崎に集まったグレ名手たちは30名。これだけ多くのメーカー所属の人たちに一度の取材で会えるのは初めての経験だった。
さて、試合の方だが、予選リーグは6名ひと組の総当たり戦で、1ゲームの時間は2時間。成績はポイント制で、規定対象は500g以上のグレだ。
選手たちは午前7時から午後5時まで4戦し、グレ(他魚)の重量ポイントの総計で計6名が勝ち残るルール。
この予選リーグ戦を残ったのは、麻田、江頭、松田、池永、山本、橋本の6選手。
準決勝は翌朝、麻田−江頭、池永−松田、山本−橋本の組み合わせで行われた。これはグレ総重量のルールで、江頭(他魚760g)、松田(グレ2匹1740g)、山本(3匹2880g)の3選手が決勝戦進出となった。
決勝戦の磯は大バエ。ここは今の時期は禁漁区なのだが、地元漁協のイキな計らいでこの日に限っての解禁となった手つかずの磯だ。時間はたっぷり3時間。1時間ごとに場所を3交代する。
山本選手はハリスを2.5ヒロとり、タナ4ヒロ前後の遊動仕掛に負荷3Bのウキで、ハリスにG2のガン玉を付け、わずかにウキを沈ませながら潮に乗せて流していく釣法。これは鶴見崎では一般的な仕掛とのことで、江頭、松田選手も同じような仕掛だった。投入ポイントは15メートルほど沖合だ。
左側からの横風が強くなってきた中、選手たちは苦もなく仕掛けを振り込む。
序盤は山本選手がグレ2匹で、他2人はイサギで竿が曲がったのみ。中盤では松田、江頭の両選手が一匹ずつ釣ったが、この間、山本選手は3匹のグレをかけてリードを譲らない。他に掛かるのはイサギばかり。
終盤は松田選手が一匹を上げたあと、しばらくは誰の竿も曲がらない。
そして終了間際、フィニッシュを決めてくれたのは山本選手だった。その良型グレを掛けてタモに入れたとたん、終了のホイッスル。山本選手はそのままグレの入ったタモを高く掲げて勝利のポーズを我々のカメラの前で決めてくれるという、いささか出来すぎたシーン。規定のグレの総重量は5匹で4110gだった。
山本選手は昭和25年生まれの46歳。ここ鶴見崎はホームグラウンドで磯釣りキャリアは20年。潮の流れが速かったので苦労したが、いつも通りの自分の釣りができたのがよかったのではと言う。優勝賞金の100万円がどうしても気になってしまったので「どうされますか?」と訊くと、「全部、家内へ渡します、いつも釣りばかり行って苦労かけてるから」と少し照れた笑顔で答えてくれた。
また、山本選手が他選手と大きく違っていたのはサシエ。多くの選手が生のオキアミを使う中、山本選手のサシエは海エビのムキ身。地元のスーパーで売られていて、程良い大きさのものを選びカラをむいて使うのだという。なんでも大分の熱心な釣人たちの間で研究された必釣エサだそうで、人によっては味の素や本だしをかけるらしい。今のように寒の時期の食い渋ったグレには抜群の威力を発揮するという。
なお、準優勝は江頭選手(2匹1850g)、三位は松田選手(2匹1780g)だった。
この大会の模様は3月1日、午後1時から時間、全国190局のケーブルテレビで放送される。
さて最後に、本大会を取材して私が感じたことだが、この大会の採算は大丈夫なんだろうか? という疑問である。
釣りメーカーのスポンサーは一切募ってないし、だからこそここまで顔ぶれが揃ったのだと言えるのだが、運営資金はすべて大分ケーブルテレビのいわば自腹。メーカー主催の大会は、自社ブランドのアピールが目的のひとつであり、その記事が宣伝となって売り上げに繋がっているのだが・・・。
ALL JAPAN グレ磯 ROYAL CUP、その主旨はおもしろいし、これからもぜひ続けてもらいたい。だが、出費ばかりの大会を何年も続けていくのは大変なことだろうと、いささか余計な心配もしてしまったのである。
●濱口正春選手 ●宮川 明選手 ●三原憲作選手 ●中井義文選手 ●麻田尚弘選手
●予選リーグ前夜、マキエづくりの合間に記念写真。久しぶりに会い、旧交を温め会う選手も。「まあトーナメンターの同窓会みたいなもんやの」と宮川さんは言う。
●釣れたグレはその場で計量して即放流という新ルール。目的は魚資源保護。つまりこの大会前も大会後も、鶴見崎のグレの総数は変化なし。
●決勝戦、終了直前、最後の一匹を上げそのまま勝利のポーズの山本伸二選手。
●江頭弘則選手。 ●松田 稔選手。 ●決勝戦の磯、大バエ。
●これが山本選手のサシエ、海エビのムキ身。地元のトーナメンターたちが、いろいろ試行錯誤しながらたどり着いたのがこれ。程良い大きさのものを選ぶのが大変とか。
●表彰式。左から江頭、山本、松田選手。
●決勝戦の様子。強い横風の中での仕掛の振り込み方、道糸の張り方など、見ていてとてもイイ勉強をさせてもらった。
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