月刊つりのとも'99年8月号より



シイラゲーム
新世紀ソルトゲームを模索する

矢野 貴雄

 オフショアソルトゲームの登竜門でもあるシイラゲームについて今回はお話ししてみましょう。

 ここ数年、釣り人口の増加に伴い釣り自体が多様化してきました。今まででは考えられなかったような時期や場所で、釣れないとされていた魚種が釣られるようになりそれを異常だと騒ぐメディアもあるほどです。

 しかし特に回遊魚に関しては、同じパターンで毎年回遊をする訳がありません。昨年は例年と比べかなり早い時期から大量のシイラが接岸したり、クロマグロもそれにつられてか回遊し、淡路の南端“沼島”付近でも多く目撃されたりしました。

 ところが今年は平年並みの回遊のようで、あまりよい話を聞かず寂しい限りですが、心配することはありません。例年並みの回遊はあるようで日の岬などではシイラ、マグロ共に去年ほどではないにしろ回って来ています。
 そこでこれらを迎え撃つわけですが、年々進化してきているタックルのおかげで、数年前までは考えられかったようなタックルでシイラと遊ぶことが可能になりました。更に楽しみ方が広がってきたといえるでしょう。

 また、ルアーをやらしてくれる船も毎年確実に増えてきており、比較的容易にチャーターが可能になりました。これはつまり、身内だけで船を貸し切るわけですから、ライトタックルで存分に魚の引きを楽しめるようになったことを意味しています。
 数年前までのシイラの常識といえば8フィート前後のボートロッドに16ポンド前後のラインを使用し、リーダーは20〜30ポンド、1〜2オンスのポッパーをキャストする、というスタイルでした。
 しかし、私の使用しているタックルは簡単にいってしまえばバスタックルそのまんま。
図版6フィート強のロッドにラインは8ポンドのフロロカーボン、リーダーはほとんどの場合使用せずルアーは1オンスまでのポッパー。
 このタックルを見て、次のような考察ができます。ルアーやタックルが繊細になっている分、必然的にファイト中も魚のやりたい放題にさせるシーンが多くなってきます。つまり掛かった魚の周囲にいるフックに掛かっていない魚にこれまでよりも違和感を与えにくく、スレてしまうまでの時間が長引くと考えられます。
 また、シイラは単独では泳いでいないので、一匹かかれば周りには必ず数匹が群れています。1匹が弱いテンションで船に寄せられてくると、強引に寄せられている場合に対して自然な泳ぎなので、周囲の魚も好奇心を煽られてついてきます。そのついてきた群の中へルアーを入れてやる、つまりはスレるよりも先にヒットさせてしまうと考えられます。

 以上のような理由でタックルの特殊性が薄らぎましたので、より誰にでも親しみやすくなったともいえます。
 軽いロッド、細いラインが使えるようになったことで、ルアーを泳がせるテクニックも以前に比べると簡単になりましたし、バス用のルアーを持ち込む可能となり、カラーバリエーションや泳ぎの選択肢が増えてきました。以前のスタイルにこだわるベテランが釣るよりもヒット数は多くなるシーンも増えることでしょう。

 ただし、バスタックルを用いることで、幾つか注意しなければいけない点が出てきます。
 ファイト時間が長く、走り回られることも多くなるので乗り合いでは不可能な釣りです。おまけにランディングを考えると20ポンド以上のリーダーを使用した方が確実でしょう。
 もう一点はフックの交換です。バス用のトップやミノーを流用するといっても、フックが明らかに強度不足です。必ずシャンクの太いサイズも大きめのフックに交換する必要があります。

 特に船上に上げてからも大暴れしますので、外しやすく大きめのものを選びましょう。そのままのフックですとほとんどの場合1発で伸ばされてしまいます。この時にお勧めしたいのが、がまかつの“アウトバーブ”タイプのフックです。これですと外すのが普通のタイプよりも容易なのです。
 すでにシイラゲームを楽しんでおられる方への今年のボクのお勧めは“フライ”です。

 ソルトフライはまだまだこれからの釣りで、国内メーカーからもあまりタックルが出ていなくてお金がかかりますが、高いタックルを揃えるだけの価値は充分にありますので是非チャレンジしてみて下さい。
 難しいといわれるフライのキャスティングも、実はラインクラスが上がれば簡単に修得できますし、やり取りはルアーのタックルよりも技術が必要で非常に楽しいです。
 是非一度フライの専門ショップへ足を運んでみて下さい。
 去年ほどいい年ではないとしても本号が出る頃にはシイラゲームも完全にシーズンイン、和歌山保面ではジギングよりも盛んになっていることでしょう。
 夏場の和歌山保面は渋滞がいやだという声も聞こえますが、道路も年々整備さぬてきており快適になりつつありますし、遊々ゾップで裏道探しを楽しみながらシイラのジャンプを味わいに出かけてみて下さい。
 キャストの前には後方確認(尼崎市在住)



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